ALEX HENRY FOSTER: 今という瞬間に交流する

掲載:SOCAN Magazine

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フラッシュバック:2018年、コンポーザーAlex Henry Fosterは初めてのソロアルバム『Windows in the Sky』を彼のバンドYour Favorite Enemiesのスタジオでレコーディングした。そのスタジオはドラモンヴィルにある古い聖シモン教会の内部に設置されている。

父親が亡くなったあと、フォスターはモロッコのタンジェへと向かった。悲しみ、悼み、絶望、そしてスピリチュアルな探求へと続いた。ミュージシャンであり実業家である彼には休みが必要だったのだ。

“父が亡くなったという知らせを受けたのは、ツアーから帰ってきてすぐのことだった。そして、その4日後には、9万人もの前で台湾のフェスティバルでヘッドライナーを務めたよ”と、フォスターは言う。”クレイジーなんだ。バンドに所属して、世界中をツアーするとさ、現実世界とリンクしずらくなるんだよ。みんなが良くしてくれるのは当然になる。けど、人として、感情的なレベルでは、それはどこまで本当なのかなって思うよね。現実に何が起きてるのか分からなくなりやすいんだよ。だから、僕は遠く離れた叫びでできた分厚いカーテンの後ろに隠れたんだ”

そして、たとえこのアジアツアーがきっかけで、Your Favorite EnemiesはビデオゲームFinal Fantasy: Dissidiaのテーマ曲を含む3曲に参加することになったとしても(彼らは、このゲームが起用した初の海外バンドである)、フォスターは疲れ切っていた。”タンジェのあと、僕はありのままでいようって決めたんだ。シンプルに。そして全ての抑制をリセットしようと思った”と彼は言う。

2006年にヴァレンヌでバンドが結成されてから、この6人組の急成長(サウンドはRadiohead、SwansやNick Caveを連想させるサウンド)は、多くの注目を浴びた。熱心なDIYバンドである彼らは、前にも述べた教会内部にあるUpper Roomスタジオにて、アルバムやEPをレコーディングした。Upper Roomは、2000年末に彼らが購入した旧教会の参拝の場所である。バンドは10カ国で演奏し、15万枚以上ものアルバムを売り上げ、彼らの動画は再生回数50万回を上回る。しかし、それにしてはバンドは自国内で比較的あまり知られていない。

また、教会は彼らのレコードプレスのホームであり、アルバム・スリーブ等のグラフィックデザインのソースでもある、更には彼らのTシャツや他のグッズの製作場所でもある。Your Favorite Enemiesは今でも活動的だ:1月31日には”The Early Days”がリリースされる。これはバンドの初期2006年から2009年を要約したもので、リミックス&リマスターしたバンド初期のEP2枚、未発表デモ曲、人気曲のオルタナティブバージョン、2008年に行った東京での初コンサートのフル音源など、他にも色々と収録されている。マネージメントやブッキングも含め、その全てがホームメイドで製作されている。

“アルバムを作ろうとか、ステージに戻ろうと思って『Windows in the Sky』を作ったわけじゃない”とフォスターは言う。”年越しや新年で家族や親戚が集まる時に流すような音楽じゃない。詩の朗読やナレーションがたくさんあるんだ。YFEとは全く違うよ。トランペットやチェロの音もあるしね…”

『Windows in the Sky』は、繊細でありながらも驚くほどに激しいアルバムだ。神経質な楽曲が、フォスターの典型である内省的な詩や語りで満ちている。彼は、薄暗い性格の曖昧さを持ちながらも、よく統率されたマッドネスを放出する。彼こそ、クリアなサウンドと歪んだサウンドのミックスで脳を活性化させるマスターであろう。

“驚いたよ”と彼は言う。”というのも、このアルバムはマーケティングしようと思って作られたものじゃないから。でも、YFEのファンもこの世界観を知りたいと思ってくれたんだと思う”

昨年12月初頭、ニューヨークで3日間に渡り行われた圧倒的なコンサートを皮切りに、フォスターとThe Long Shadows(主にYFEのメンバーによって構成される彼のバンド)は2020年の2月と3月、26公演に及ぶヨーロッパツアーへと繰り出す。ビッグアップル(NY市の愛称)でのコンサートについて、彼はこのように語る:”最小限のテクニカルサポートしかない、とても小さなライブハウスだったんだ。フロアにいた人たちの中には、泣いている人もいたよ。だからこそ僕は音楽を作るんだ。こういう感情をみんなで一体となって体験するために”

では、宗教的サービスのようなものだろうか?”その瞬間を受け入れなきゃいけないんだよ”とフォスターは言う。”もしも抵抗したら、その波は君に唾を吐く。安全ネットなしで綱渡りするようなものだよ。もしも落ちたら、その落下は凄まじい。人は音楽の枠を超えた何かを体験したいんだ。それは完全に僕だけにかかっているとは思わない。だって、とても音楽的で没入的だから。それに、1回のライブでも、YFEのライブと同じくらいクタクタになるしね”

CLAUDE CÔTÉ
2020年12月23日

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