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再び光の中へ

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ウェブロックマガジンBEEASTでのコラム連載より

パリとタンジェの滞在は、いつも短すぎると感じるけれど、改めて素晴らしい時間だった。旅ができることも特権だけど、そうじゃなくて、僕にとって貴重な人たち、僕の心にとって大切な人たち、僕にとって柔らかいそよ風が運ぶ、明るい色そのもののような人たちや、僕が光の中へと戻り、たくさんの喜びと心の平穏とともに生きられるようにしてくれる温かい人たち、そして何よりも、あまりにも長く連れ添ってきたことで、忠実な旅のお供や仲間となり、誰も理解できないのに、僕らが存在するための真髄となっている、そんな矛盾を生んだ人生のおかしなイメージ、少なくとも僕がよく抱くもの、視点を失えば失うほど、掴みにくくなり、距離が近づくと、理解が難しくなっていくもの:人生、における魂の影と向き合わせてくれる人たちがいる特権を思い出したんだ。だから、滞在最後の数日は多くの良いことを僕に与えてくれた。

実際、今からずっと前、まだパリが遠い夢でしかなく、叶えられる未来だとも思っていなかったときから、パリは大好きなんだ。はっきりとした目的なくパリの街を歩くのが好きで、人生のカウントダウンが迫っているかのように急いで、人を押しのけて走っている見ず知らずの人たちのダンスに混ざってみたり、チラチラと時計を見ながら、僕の目的のない歩みのリズムを通り過ぎていく周囲の人たちの香水について行ってみたりね。ここには、言葉がある。そこには、思いやりに満ちた、地平線への笑顔がある。クラクションの音や、息切れしている人間にとって十分な広さのない歩道で通りすがりの人が始める口論が、説明できない喜びを運んでくる…人生。見ず知らずの人たちの生活から盗み見た、こういう瞬間が僕を震わせ、僕自身のものをつくりたいと思わせてくれる。

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脳外科医になってたかもしれない…けどソニック・ユースに出会ったんだ

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SFCC限定アレックスのブログ“Out for a Spin”より抜粋。全文はこちらから

史上最高の作曲家の一人、グレン・ブランカを偲んで。彼の代わりになる人はこの先、現れないだろう。

人生の悪循環の始まりがどこだったか考えたとき、あの時だってはっきりと指摘できる瞬間がある。そして、それは自分で思ったり、願うよりも、実はずっと早くに始まってるんだ。ちょっと視点を持つだけで、そういう瞬間をはっきりと認識できて、どこで間違ったんだろうっていう問いの答えや説明のヒントを探しに過去を思い出すとき、逆にもうそれ以外見つからなくなったりする。既に素晴らしかった人生のどこで道を誤ったんだろうってね…まぁ、13歳の僕が考えていたように考えるならだけど…というわけで、当時の記憶を回想してみよう。いつの間にか、それが“Out For a Spin”のマントラに、そして僕には、どうやら安めのセラピーの役目になってるみたいだし…!まぁ、とにかく、こういう話なんだ:

僕は14歳間近の13歳だった。既に問題を起こしていた(問題を抱えながら)。僕は友人たちが少年院で過ごしているように学校生活を送っていた。僕にとって学校という場所は、良い日ならば退屈で、それ以外は酷く憂鬱な場所だったんだ。けど、成績はなんとかグレードAを保っていた。だいぶ不思議なんだけどね。だって、覚えている限り、僕には軽い失読症の症状が出ていたし、ハイスクールまでは2年間続けて同じ学校に通うこともなかったから。時には1年に2、3回、学校が変わることもあったんだ。家の経済的理由でね。常に新しい街、新しい学校、新しいいじめ、新しい世界…どうにか馴染もうと頑張っていた子供時代、それはずっと続いたんだ。

なぜだか、僕はいつも”特別”な授業に入れられてた。他の子たちよりも習得が早い(そして、宿題をちゃんとやってくる)生徒たちのために組まれた、アカデミックな上級クラスのプログラムだ。そのおかげで、ハイスクールは全く居心地の悪い場所になった。だって同じクラスの人たちはみんなクールに着飾るっていうコンセプトも、ヨーロピアン・サマー・バケーションを取ることも、家族なのに車を2台持つことの意味すら理解していなかったからね。(両親の車はどれも、僕が学校へ着ていく服と同じくらい周りとは違ったんだ…本当だよ!)僕は一匹狼さ。それが、いわゆる僕の人生だった。小学校の頃は授業の終わりを告げるチャイムが鳴るのと同時にボコボコにされたよ。どんなに転校を繰り返してもね。そしてハイスクールは…まぁ、控えめに言っても複雑だった。

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祝う価値のある人生の流れ

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親愛なる兄弟、姉妹、友人、ファン、そして愛する人たちへ

君が素晴らしい日々を過ごしているといいな。僕らは2017年への気持ちや想いを手放し、既にフルモーションで流れている期待でいっぱいの2018年に浸っている。新たな始まりの時期は、いつだって僕ら自身を振り返る良い招待だ。それによって、希望に満ちた夢への新たな信仰を持って未来を想像することができる。様々な色を1色ずつ、様々な発見を1つずつ紐解き、喜びと興奮の気持ちで呼吸し、今を生きることができるんだ。明日は明日の風が吹くと知りながら。だって、いつだってそうだからね。

2017年に過ごした12ヶ月は、僕ら全員にとって、とても魅惑的で意味深いものだった。バンドとしての僕ら。友人としての僕ら。家族としての僕ら。素晴らしい瞬間や多くの達成に満ちた豊かなシーズンだったよ。グループとして、個人として、一緒にいることの喜びの意味を改めて知るのと同じくらい、新たな発見もしたんだ。シンプルな笑顔、みんなで大笑いする時間、たとえしばらく離れていても – 本当に長いあいだ離れていても – まだお互い、一緒に成長していける美しい恩恵について考えを巡らせることができた。

実際、だからこそ2017年は僕らにとって意味深い年だったのかも。僕は遠くへ行き、ほんの少しだけ残っていた自分自身を見つけるために、しばらく漂流していた。たとえ真実が完全には理解できない場所にあったとしても、自分自身や愛する人たちへの正直な心から自由は生まれるんだと気付いたんだ。僕らは多くを疎外することで個人的な影と戦いがちだけど、そうすると光が僕らの周りに作り出す影よりも、自分がもっと暗くなることは避けられない。個人的な巡礼の旅は世界の果てまで導いてくれるかもしれない、けど自分が最初に夜明けへとひざまづいた場所、解放、認知、受け入れることを教わった場所…僕らの契約、個人的な教義、進化する必然性とまやかしの宿命性からは程遠い何かに落ち着くことはあまりない…。

だから、ほぼ2年前、タンジェで旅が始まったときと同じテーブルに今まさに座っているのも不思議じゃないだろう。バンドの最新ストーリーブック・プロジェクト“A Journey Beyond Ourselves”に取り組み、たくさんの曲を書いたのと同じテーブル、でも何よりも大事なのは、朝早くから夕暮れまで海を眺めながら平和を見つけることができた場所。どんどん膨らんでいく拒絶への恐怖から、静かな内省、個人的な回想による解放的な恩恵。感情のサイクル、復活を話す人もいれば、魂が本当の居場所に戻ること、前世にここにいたんだと言う人もいる…どうだろう…多分、自分自身でいること、なりたい自分になれていないことへの重荷に耐えることなく、鏡に映る自分を見ることができる場所を見つけたっていうくらいシンプルなのかもしれない…家と呼べる場所、その時その瞬間におけるありのままの自分を受け入れてくれる場所。分からない…タンジェは僕にとって、そうなんだ…正直な心、愛、死、その間にあるものすべてと同じように掴みにくい…そのすべてのまとめ、と同時に、何のまとめでもないもの。

そして、これまでの10年間の僕らの人生の物語、それがどれだけ信じられないような航海かってことに加えてーそれにしても、なんてクレイジーな10年だったんだろう。数えきれないほどの奇跡を、自分たちや他の人たちの中に見てきたー僕は兄弟、姉妹、友人、そして人生を共にしてきたパートナーたちを、僕の場所タンジェに招待することができた。レコーディングスタジオを設置し、音、言葉、色、イメージに取り組む最高の恵みを得たんだ。それらを曲にし、歌詞にし、絵画や映画などにして、バンドとして、友人、家族としての僕らを発見し、再発見している…それは君たちみんなと分かち合うのを楽しみにしている希望の欠片だよ。

だから、この新鮮な創作スペースで、ベンと僕は、セフのコラボレーションと一緒に、新しい音楽プロジェクトに取り組んだんだ。今年の春にリリース予定だよ。これまでの作品とは全く違うものであり、喜びに満ちた刺激的な感情をアーティスティックなランドスケープで描いたものだ。探し求める者が持つ挑戦の心、膝をつく者と一緒に立ち上がる結束、一人よりも大きなアイディアによる勝利、絶望から生まれた純粋な愛にインスパイアされたコンセプチュアルなプロジェクトなんだ。僕らはこのプロジェクトを誇りに思っているよ。その本質を君に知ってもらうのが待ちきれない。

Your Favorite Enemiesの次の冒険として、これからの数ヶ月は交流に富んだものになるはずだ。というのも、6人全員がタンジェに集まって4月まで一緒に音を探し、実験していくからね。それこそ、簡単に素早く創作しようっていう試みに固く反対する僕らのやり方だ。ただここに全員が集まったというだけでも、もう既にとても刺激的だよ、だから、僕らの生き返ったアーティスティックな海から何が生まれるか、とても楽しみにしてる。

君たちと過ごす瞬間が早く来ないかと待っているよ。新しい1年が君にとって喜びに満ちた達成的なものでありますように。きっともうすぐ会えるさ。ハグや笑顔、コンサートや音楽に関するお祝いとか、ツアー中のどこかとかでね。

みんな大好きだよ
アレックス、そしてジェフ、ミス・イザベル、ベン、セフとムースより

PS:バンドのファンクラブ(SFCC)に入って、僕らの北アフリカの冒険や今後のプロジェクトについての情報を楽しんでね。

心を癒すのは時ではなく…許し

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ウェブロックマガジンBEEASTでのコラム連載より

ベッドルームのドアの前に立っている僕は、早く開けてと鳴いて吠えている2匹のボーイズ、マッカイとレナードよりも、きっとワクワクしていたと思う。こういう純粋な瞬間があるからこそ、ここ1年ほど自宅から離れながらも、定期的には戻ってこようと思ったんだ。昨年から今までが、そんな風に過ぎていくなんて思ってなかったよ。日々はすぐに数週間となり、数週間はすぐに数ヶ月となった。もうこのまま家には帰らないのかな、って自分で思うくらいだったよ。多分、バンドのストーリーブック”A Journey Beyond Ourselves”のために書き物をすることがなかったら、今も家とは違う場所に滞在していたと思う。僕はそれくらい気持ちが落ちちゃってたんだよね。けど、結局はそこまで壊れてなかったって気づいたよ。自分が望む限り、遠くまで走ることはできる。その理由が良いものであろうと、悪かろうとね。時間の経過は心を癒さない…癒すのは許しだけ。

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昨晩は随分と久しぶりに、スタジオに戻ったんだ。僕らの歴史、たくさんの涙や笑い、嘆かわしい夢、大喜びするような成功の思い出がいっぱい詰まった場所に立つのは特別だった。ここはそういう場所だと思うんだ。瞬間の本質、ひいてはそこに生まれる感情を決定するのは僕ら自身。昨晩、僕は今、自分が生きている自由を感じられた。そして、その気持ちを他のバンド仲間に話すことさえできたんだ。以前は、どんな個人的な気持ちも内に秘めていた。だから、他の人たちと同じ空間にいるということが、いかに僕にとっては簡単じゃなかったかを思い出したよ。曲のアイディアをシェアして、そこに込めたい感情について少し話せたのは良かった…シンプルだった。

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僕が話したのは、毎朝起きるたびに新しい悲劇が起きているような現在の混沌とした世界の中、テロなどの耐え難い、衝撃的な行動を目にするたびに、社会をうろついている不寛容と宿命論を浄化するために書き綴ってきた思いやり、恩恵、慈悲の言葉を今こそ歌うときじゃないかと感じたということ。僕らはみんな少なからず、このテロに関わってる。怒りの犠牲者かもしれないし、力ない生存者かもしれない。憎しみから自分たちを守るために、考えないようにしている人たちもいるし、または恐れなくして生きることはできないんだと認めている人たちもいるだろう。最近起きた、憎むべき暴動的な恐怖のあと、友人から、ある新聞社のために何か言葉を書いてくれないかと頼まれた。僕はその友人への応えに、きっと落胆したり、恥ずべきことのように聞こえるだろうけど、もう追悼の言葉を書き続けることはできないと言ったんだ。

マンチェスターでの爆破事件を受けて

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昨晩、マンチェスターで起きたことは本当に酷いことだ。マンチェスターはバンドにとって、とても意味深い場所であり、たくさんの素晴らしい友人やファミリーたちがいる。愛する人たちから引き離されてしまった家族たち、そして、僕らのように、このような恐ろしい忌むべき憎悪と暴力の前に無力さを感じている人たちに、心からの憐れみと純粋な祈りを捧げたい。

こういう酷い惨事が起きた翌朝は、それが馴染み深い場所であろうとなかろうと、憎悪という執拗な性質の前で、平和と共感というものがどれだけ脆いものかを思い出させる…許しの代償や愛が、良い意思を持つ人々のために報われにくくなっていっている気がする…僕にとって、直面するのが最も恐ろしいこと、それは今まさに僕が忌み嫌っているモンスターと同じようになること…少なくとも、それはいつだって僕の個人的な決断なんだ…

人生を味わおう。それはいつだって、失った人たちを称える方法であり、憎しみと恐怖に対抗する方法だ。

– アレックス

PS:ジェフと僕のことを心配してメッセージを送ってくれたみんな、どうもありがとう。反応が遅くなってごめんね。君たちと同じように、僕らもショックを受けている。でも、一つだけ確かなのは、君の行動が僕らにとって、とてもインスピレーションに溢れるものだということ。本当の愛の力を思い出させてくれて、どうもありがとう。

国際反ホモフォビアの日

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誰かの権利を否定することは、人を権利から堕落させること。僕らは理解できないかもしれない、僕らは心地良くないかもしれない、僕らは賛成すらしないかもしれない、けれど、一つ分かっていること、それは自分の信念や、他人の違いのために平等を否定するとき、僕らはシンプルにありのままの自分でいたために直面しなければいけなかった、または直面している、そして今後直面するかもしれない憎悪に加担するということ。自分自身をありのまま認めるということは、それが何であろうとなかろうと、他の人がありのままでいることを受け入れるということだ。そう望もうと、望むまいと、僕らはみんな変で、おかしくて、間違っている。そして、それこそ、この世界を進化していくための魅力的な場所にするんだ。僕らの恐れと非難が生み出した均質化された、どんな独裁国家よりもね。少なくとも、それが真実であろうとなかろうと、僕が支持しているのはそこだ…全ての人に人権を…例外なく!!!

– Alex

Most Live To Say Goodbye, Some Die To Feel Alive

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ニューヨークは、僕にとって魅惑的な存在だ。アイコニックな響きによるものではなくて、街全体が一つの世界のようにして回っているような、ほとんど架空のコンセプトのような…まるで、旋回する動きには時間さえ権威を無くしているような。過去、現在、未来、その全ての中心にいるような感覚。幸福に満ちた喜びと、無感動の不幸。忘れようとしたもの全てと、ずっと望んできたもの。依存と自由。コミュニティと自立。シンボリックな解放のイメージと、無慈悲で豪華な要塞。ポルノグラフィックな極貧と神聖な欲望。

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鏡が世界のヴィジョンを映し出すように、創造しては、破壊する。永遠の愛を信じる者にとってのロマンチックな幻想。新たな始まりを求める者にとっての避難所。輝くための明るい光を望んでいる者にとってのシアター。よそ者にとっての隠れ家。自身の沈黙から逃れてきた者にとってのうるさい人混み。過去のノスタルジアを写し続ける写真、思い描く未来。無名の作家、神秘的な炎、膝間づきたいという謎の欲望、縮んでいく自己の上昇…それらにとっては、忙しい通りだ。クリエーションの美しさ、そして、それと共にあるカオティックな自然災害。自らの権利の中で神となることがどんな味か、そして、真の人間らしさとは何かを意味してる。

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僕は嵐の中で育った。それ以来、信じるには歳を取りすぎ、本当に気にかけるには若すぎる。多くが別れを言うために生きるとき、生きていると感じるために死ぬ者もいる。家のすぐ近くだと感じられるのと同じくらい、現実はたどり着くのに最も遠い場所のようにも思える。まるで、夢と実現のあいだの距離が、乗り越えるべき最も大きなものであるかのように。2016年3月1日、霧雨の夜、ブロードウェイを歩き、愛する人たちの笑いや驚きに囲まれながらワインを飲んだ…あの瞬間はニューヨークの街じゃなかった。そこに存在した眩しい光や輝くスカイラインよりも、断固として素晴らしいものだった。あの瞬間は家族だった…それほど素晴らしくシンプルだった。それほど勇気付けられた。家族…それが何であろうと、ありのままでいさせてくれるユニークな力。夢とその実現のあいだ。

ニューヨーク…”多くが別れを言うために生きるとき – 生きていると感じるために死ぬ者もいる”

– Alex

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気にかけるかぎり

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気にかけるかぎり

今回のようなメッセージを書くのは、ひどく心が痛む…自分の故郷で狂気が乱暴に人々の命を奪ったからでなく、絶望的なまでに皮肉ったり、感情を断つことなく周りを見ることが、僕にはどんどん難しくなっているからだ…

まるで世界が、というか成長を遂げているはずの現実が、どんどん、ぼやけていっているかのよう。まるで毎回、自分の人生の外を見るよう強制されるたびに、どうしようもできないまま、目の前で明るい色が消えていくのを見なければいけないかのよう。安息の地だと思っていた場所に、逃れられない恐怖がどんどん近づいてくることによって、その一瞬、突然、目が見えるようになったかのようだ。

”恐怖”が憎むべき暗闇を連れて、交流のテーブルを訪れ続ける中で、希望、愛や平和について考えることは、ひどく心が痛む。まるで忌むべき悪が僕の全てに、僕が信じてきた全てに、僕が行動に移してきた思いやりを定義するもの全てに、挑戦しているかのようだ。自分自身の心の奥底を見てみろって言われてる気がする。でも、僕の心にある全ては、憎しみの存在を否定し、非難し、生き続けるために違う方向を見ている。まるで…まるで、何だ…?時に僕は、混乱しすぎて自分に嘘すらつけない…”きっと大丈夫だ”と囁き続ける。でも、どうやって大丈夫だなんて分かる?僕は悩み続ける。混乱しても良いんだろうか?分からない。

シャルリー・エブドの残虐行為から、許すことのできない憎しみに満ちた悲劇の数々や、それに関する写真や動画など、僕が最も嫌悪するのは、様々なメディアから聞えてくる無関心極まりないナンセンスだ。”エキスパート”、”スペシャリスト”、”オブザーバー”や”コメンテーター”は、ニュースが発信されてから、たった数秒後に、頭を使わずとも分かるいつものバカげた言葉を流す。 今朝、僕が聞いたカス情報は、政治的、社会的に考えても知的さの欠片もないものだった。とても不愉快だったよ。自分の本、協議会やサービスについて宣伝していた…思いやりも、共感も、同情も、恩恵もない。自分の宣伝だけで、一言触れることすらしなかった。すごく気分が悪くなったね。こういう繊細さの欠如にうんざりしすぎて、何事もなかったかのように今日1日を過ごすなんてできなかった。想像を絶したよ。そして、ドナルド・トランプが大統領に選ばれたから、神様はどれだけの狂気を僕らが耳にしてきたか知ってるはずだ。女性を性の対象として描き、難民を禁じ、暗殺のジョークに、ホワイトハウスに爆弾を仕掛けることについて公に話したりね。政治的、社会的な修辞学は、感覚がまったく堕落しすぎて、もはや馬鹿げた哀れみすら感じない。おぞましいよ。

実際、大晦日にイスタンブールで起きた恐ろしい事件のあと、僕は自分に約束したんだ。もう、こういう悲劇について書くのは止めようって。自分の感情を表現するのに言葉じゃ足りないとき、そうする強さがまだある人へと譲った方が良いと思って。でも、世界中にいる、文化も宗教も、社会的、経済的、政治的視点も違う多くの友人たちからメッセージを受け取って、僕が恐れるべきは、自分の弱さでも、混乱でも、疑いでもなく、沈黙だと気付いた…苦しみ、悲しみ、憎しみを育てる全てのものに対する血清は、招待し続け、ありのままを歓迎し、チャンスを掴み続けることだ…

これを書きながら、僕はまだ混乱している。今も無力さを感じ、全てを嫌悪してる。けど、最近モロッコからの友人が僕に書いてくれた言葉が、今日は心の中で響いているんだ。“がっかりしても良いんだよ。混乱しても、恐れても良い。僕らはみんなそうだ。愛、平和、世界…僕らが気にかけるかぎり、見込みのない試みなどないよ。僕らが気にかけるかぎり、いつだって希望はあるのさ。君が信じる道を歩き続けて。そして、心が折れそうになったときや諦めかけたとき、僕のように、君のことを気にかける人たちがいることを思い出して”

そして“きっと大丈夫だ”と囁き続け、”でも、どうやって大丈夫だと分かる?”と悩み続けながら、結局、僕は気にかける何百万人のうちの一人だから、大丈夫だって分かるんだと思った。メッセージを送ってくれて、そして僕を歓迎してくれて、どうもありがとう。僕の家族、愛する人たち、そして僕自身は無事だよ。世界はどんどんモノクロの荒涼へと化しているように見えるけど、失われたと思っていた色は、君の寛容な手の中に安全に抱かれていると知っている。僕の親愛なる兄弟、姉妹、愛する人たち…輝き続けよう!!!

オリジナルの英語バージョンより翻訳:Momoka

自由がいつか辿り着く場所であるとき

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ウェブロックマガジンBEEASTでのコラム連載より

“タンジェは過去と現在が比例しながら同時に存在する場所なのだろう。とても生き生きした今日は、同じくらい生き生きした昨日によって、現実的な深みを与えられる。タンジェでは、過去は太陽の光と同じくらい、肌で感じることのできる現実なのだ” – ポール・ボウルズ(1958)The Worlds Of Tangier

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人生には、すごく重要で、本物で、深く心に影響したからこそ、その本質や真髄を掴むのが難しい瞬間がある。それは僕らが現実と呼ぶ具体的な行動基準や、言葉にする必要のある要素からかけ離れているからだ。言葉にするのは、その瞬間を理解するためだけでなく、その信ぴょう性を信じるためであり、そうすれば感情という不確かなものをロジカルな視点で再確認でき、重要な瞬間の上に新しい意味合いを築き上げることができる。まるで、完全には理解できない不思議を定義することで、それを真実にできるかのように。その存在を認められるだけ具体的なものにして、だからこそ、その変化が自分たちに影響するかのように。僕のタンジェでの経験は、そんな風に説明できるかな。強烈な自己の反響だ。

自己追放

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ウェブロックマガジンBEEASTでのコラム連載より

“幸せになりたいのなら、なりなさい” – トルストイ

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僕は今モロッコにいる。こちらに来て、まだ2日目。これから8週間を素晴らしくインスピレーションに溢れた街、タンジェで過ごすんだ。もう既に家のように感じている美しいゲストハウスDar Nourの屋上にあるテラスで、赤ワインを嗜んでいるよ。タンジェのカスバ(旧市街)の中心、北アフリカの暖かい太陽がゆっくり夜へと消えていく前、最後に見せる明るい鮮やかな光を眺めてる。風は優しく僕の顔を撫でる。海からのフレッシュなそよ風だ。海は空の青さを反射している。世界の鏡さ。その絶え間ないダンスは、僕がいる場所からほんの数歩。その完璧な景色からは、魅力的なスペインが見えるんだ。海の音を通して、何度も何度も僕を招いている…否定するには美しすぎるし、拒絶するには繊細すぎる、自制するには魅力的すぎるよ。

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