再び光の中へ

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ウェブロックマガジンBEEASTでのコラム連載より

パリとタンジェの滞在は、いつも短すぎると感じるけれど、改めて素晴らしい時間だった。旅ができることも特権だけど、そうじゃなくて、僕にとって貴重な人たち、僕の心にとって大切な人たち、僕にとって柔らかいそよ風が運ぶ、明るい色そのもののような人たちや、僕が光の中へと戻り、たくさんの喜びと心の平穏とともに生きられるようにしてくれる温かい人たち、そして何よりも、あまりにも長く連れ添ってきたことで、忠実な旅のお供や仲間となり、誰も理解できないのに、僕らが存在するための真髄となっている、そんな矛盾を生んだ人生のおかしなイメージ、少なくとも僕がよく抱くもの、視点を失えば失うほど、掴みにくくなり、距離が近づくと、理解が難しくなっていくもの:人生、における魂の影と向き合わせてくれる人たちがいる特権を思い出したんだ。だから、滞在最後の数日は多くの良いことを僕に与えてくれた。

実際、今からずっと前、まだパリが遠い夢でしかなく、叶えられる未来だとも思っていなかったときから、パリは大好きなんだ。はっきりとした目的なくパリの街を歩くのが好きで、人生のカウントダウンが迫っているかのように急いで、人を押しのけて走っている見ず知らずの人たちのダンスに混ざってみたり、チラチラと時計を見ながら、僕の目的のない歩みのリズムを通り過ぎていく周囲の人たちの香水について行ってみたりね。ここには、言葉がある。そこには、思いやりに満ちた、地平線への笑顔がある。クラクションの音や、息切れしている人間にとって十分な広さのない歩道で通りすがりの人が始める口論が、説明できない喜びを運んでくる…人生。見ず知らずの人たちの生活から盗み見た、こういう瞬間が僕を震わせ、僕自身のものをつくりたいと思わせてくれる。

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今年3月グルノーブルでの素晴らしい大混乱のあと、屋内競技場ゼニスでのコンサートで僕の友人、ベルトラン、パスカル、ニコ、ラウ、フレッドとブルーノに再会できたのは、シンプルだけど深い喜びだった。友情と心が、どんな討論をも、そしてステージに上がることへの議論をも打ち負かした瞬間だ。全てを越えてー本当にあらゆる全てをー真実、嘘、何が間違いで、何が正しいか、モラル、法的権利、不安、とりすまし、恐怖、両方の間に起こる衝突の正当性を越えて、ベルトランとバンドメンバーたちは、僕の友人である。それは過去の救い難さのために、僕こそ一番に石を投げられるに値するからではないし、贖いの愛が他人の良さを見つける手助けをしてくれているからでもない。これは僕にとって個人的なことだけど、友情は、知り合いに影響が及ぶことを心配せず頻繁に交流している数名の人たちの毒よりも、もっとずっと強い絆だ。自分の不安、驚き、恥や憤りを話してくれる友人たちみんなに対して、僕は同様に愛をもって接している。実際、感謝してるんだ。世間で人気のある信念やあやふやな意見に囲まれずに済む豊かさを得ているから。そして僕の言う豊かさとは、人気だろうとなかろうと、いつだって光の中に生きること。僕自身の人生においては、まだ控え目だけれどね。自分は自分にしかなれないと言う。人の複雑さについて話すとき、色々と一緒くたにされていたり、一問一答のようなものには慎重になるんだ。でも、それが僕だ。僕は味方にならないし、戦いもしない。僕は、愛する。

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それはそうと、ベルトランのコンサートのハイライトをシェアしないわけにはいかないね。会場に到着して、僕らがドリンクを飲みながら、コールドカットとチーズ(これについて話すって約束したんだ!)を食べていたとき、近くのテーブルに座っていた2人が来て、ビールをおごってくれたんだ。そして、人生について話し始めた…彼らの人生、彼らが愛する人たちの人生、ベルトラン、Noir Désir(仏バンド)、フランスの歴史、共和制の状態、バタクラン、許し、愛を選ぶことについてなど。コンサートが始まり、僕らは観客の中でバラバラになった。幸運なことに再び再会し、今度は僕らの人生や考えについて話す番がきた。ベルトランがセンサーシップや、その保証人たちをステージ上でこきおろしているとき、僕らは再び流れに逆らって、赤の他人同士が特別な瞬間を過ごせるように導いた自由について話した。この夜は、音楽、言葉、そして何よりも愛が、僕らの話や笑いを満たしていたよ。世の中の出来事がもたらす刺激的な感情によって、まるで自らをシェイクスピアの劇のように見せているメディア、そんな中で、影からこっそりと逃げた小さな人間の光がちらついている。そう、人生は続く。でも愛は、いつだって新しい夜明け、新しい約束を与えてくれるんだ。

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日々が過ぎていった。それはまさに、あらゆる環境や社会階級に属する友人たち(理由があろうとなかろうと)、彼らとの間で与え、受け取り、分かち合った愛情のイメージだった。バタクランで特別な友人と飲んで、7区で笑い合いながら家庭の味を堪能し、僕らが大好きで賞賛するアーティストと公園でサンドイッチを食べ、ゼニスでは一度飲んだだけで他人が友人となり、タンジェで出会った人たちとモンマルトルで再会し、アーティストの権利のために情熱的に活動している人(普段はエッサウィラに住んでるけど、パリには仕事で来ていたんだ)とランチをし、本場イタリアの味で知られるピザ屋のクルド人オーナーと短い立ち話をし、さらに驚くべき63歳の老人が運転するタクシーにも乗ったんだ。彼はカメルーンで生まれ、20代のときにフランス住民権を取得し、以来、人生を謳歌している。僕らにアフリカ文化について教えてくれたり、フランスへの愛情を語ったり、イエス様への信仰をも話してくれたんだ…壁のない交流の優しい時間。それこそ僕にとっては、ただの瞬間を大きな喜びに変えるものだ。”ありのままでいる”ことが、厳しいルールや前もって準備された考えに縛られず、矛盾や相容れないものから成るユニークな美しさを持った明るい色に輝く人生。その光は、街の灯りをはるかに越え、尽きることのないクリエイティビティの源を輝かせる。それは、この街にある優美さの中で、あまりにも多く忘れられる人たちの大きな心から生まれるんだ。皮肉と不明瞭さに溢れたこの時代に、僕らはしっかりと見る必要がある。目に見えないものを確かめることはできないかもしれないけど、それでもなお、いつまでも変わらないと思いたいものに触れられることは、確信を与えてくれるよ。

それ故、タンジェで過ごした3日間が、理由は違えど、パリでの時間と同じくらい特徴的なものだったのは驚くことじゃない。昼夜逆転のリズムに関わらず、ここで経験した感情は詩とインスピレーションに酔いしれるものだった。何よりも、近しい友人たちと再会するのが、僕にとっての恵みだったよ。それはそれとして、タンジェでの様々な経験やユニークなエッセンスを越えて、この街を好きな気持ちは変わらない。それは、ここに住む人たちが、この街に本当の意味、ユニークな香り、まばゆい色を与えているからだ。特に、そういう人たちこそ、僕が心の闇に迷い、感情的なブラックホールに繋がれ、絶望的な状況の中から抜け出すために必要な勇気を剥ぎ取られた気持ちでいたときに、大きな影響を与えてくれた。僕が大事に思う人たちに囲まれて、家に戻ってこれるのは説明できないほどに嬉しいよ。そして、僕らの滞在は穏やかで静かなものだったから、モダンな枠組みや狂気じみたペースの外で、しっかりと時間をとることの大切さを思い出させてくれた。解放するのは気分が良い。それが長めのハグや笑い声や、日が沈んでもまだ楽しみたいと思える夜のためだけだったとしてもね。それが僕にとって、大切な人たちの柔らかい声の動きに身を任せる以外なんの野望もなく、寝そべって、目をつむることなんだ。その声は、僕を囲み、なだめ、人と交流するために、何も持ち合わせないままカスバのドアまで辿り着いた僕が、どれだけ遠くまで歩んできたかを思い出させてくれる。

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僕らがタンジェに設置したスタジオの家を再び訪れることも、僕の今の心境をよく表している。扉を開けて一歩中に入ってすぐに、心の震えを期待していた。けど、それは起こらなかった。ごく普通の感覚だった。僕らはここでとても人間的な瞬間を経験し、他のバンドメンバーたちとの友情が再び火を灯したのもこの場所だ。僕らはYour Favorite Enemiesを始めたときのように、自由に音を表現する以外、特にゴールを設けることなく演奏し作曲した。この家は僕のバンド復帰の要であり、愛する人たちや僕らを愛してくれる人たちと分かち合いたかったもの、経験したかったもの、交流したかったものの象徴となった。ここに来ることによって、過ごした時間を心穏やかに見て、続いていく人生の達成、そして新しい場所へと止まることなく旅する道を与えてくれたように思う。家を去るときジェフに言ったように、振り返ってみると、この家は僕らの人生の重要なステップを歓迎する準備ができていたけれど、ここで僕らが経験した精神は、僕らが去ったのと同様に去ってしまったようだった。僕らの人生におけるこの時期や、そこにあった感情の本物の証は、みんなで楽しんで作った音楽と言葉の中に見つけられるだろう。まるで、それが自然かのように、簡単に自分たちのクリエイティブな心をへし折ってしまうコントロールからも、いかなる野心からも解放されたんだ。だから、改めて、この場所に戻ったときの気持ちは、僕がバンドと一緒に飛び立つ準備ができてると教えてくれたんだと思う。2年前とは違うと…自分が望むように、自由に定義できるんだと。この視点だけでさえも、僕にとってはスリリングだよ。

モントリオールに帰る前、24時間だけパリに寄るためにタンジェを出発したとき、友人に言われたんだ。「今こそ光の中へと戻るときだ。君の心はそこにある。人生の美しさを分かち合える人たちと一緒に脈打つ運命にあるんだ。だから、”ありのまま”になって、そして2度と振り返らないこと」

最近のジェフとの旅をこういうかたちでシェアしたかった。僕の今現在の心の状態を表すだけでなく、その正直さを表しているから。スポットライトの中に戻って生きていること、自分の印を見つけるのに緊張しているけれど、以前は経験できなかった気持ちを体験することにワクワクしているよ。それはこの先、素晴らしいものへと繋がっている。分かち合うべき震え、交わるべき瞬間へとね。

– アレックス

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