心を癒すのは時ではなく…許し

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ウェブロックマガジンBEEASTでのコラム連載より

ベッドルームのドアの前に立っている僕は、早く開けてと鳴いて吠えている2匹のボーイズ、マッカイとレナードよりも、きっとワクワクしていたと思う。こういう純粋な瞬間があるからこそ、ここ1年ほど自宅から離れながらも、定期的には戻ってこようと思ったんだ。昨年から今までが、そんな風に過ぎていくなんて思ってなかったよ。日々はすぐに数週間となり、数週間はすぐに数ヶ月となった。もうこのまま家には帰らないのかな、って自分で思うくらいだったよ。多分、バンドのストーリーブック”A Journey Beyond Ourselves”のために書き物をすることがなかったら、今も家とは違う場所に滞在していたと思う。僕はそれくらい気持ちが落ちちゃってたんだよね。けど、結局はそこまで壊れてなかったって気づいたよ。自分が望む限り、遠くまで走ることはできる。その理由が良いものであろうと、悪かろうとね。時間の経過は心を癒さない…癒すのは許しだけ。

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昨晩は随分と久しぶりに、スタジオに戻ったんだ。僕らの歴史、たくさんの涙や笑い、嘆かわしい夢、大喜びするような成功の思い出がいっぱい詰まった場所に立つのは特別だった。ここはそういう場所だと思うんだ。瞬間の本質、ひいてはそこに生まれる感情を決定するのは僕ら自身。昨晩、僕は今、自分が生きている自由を感じられた。そして、その気持ちを他のバンド仲間に話すことさえできたんだ。以前は、どんな個人的な気持ちも内に秘めていた。だから、他の人たちと同じ空間にいるということが、いかに僕にとっては簡単じゃなかったかを思い出したよ。曲のアイディアをシェアして、そこに込めたい感情について少し話せたのは良かった…シンプルだった。

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僕が話したのは、毎朝起きるたびに新しい悲劇が起きているような現在の混沌とした世界の中、テロなどの耐え難い、衝撃的な行動を目にするたびに、社会をうろついている不寛容と宿命論を浄化するために書き綴ってきた思いやり、恩恵、慈悲の言葉を今こそ歌うときじゃないかと感じたということ。僕らはみんな少なからず、このテロに関わってる。怒りの犠牲者かもしれないし、力ない生存者かもしれない。憎しみから自分たちを守るために、考えないようにしている人たちもいるし、または恐れなくして生きることはできないんだと認めている人たちもいるだろう。最近起きた、憎むべき暴動的な恐怖のあと、友人から、ある新聞社のために何か言葉を書いてくれないかと頼まれた。僕はその友人への応えに、きっと落胆したり、恥ずべきことのように聞こえるだろうけど、もう追悼の言葉を書き続けることはできないと言ったんだ。

距離をとることは徐々に痛みを麻痺させていき、悲しみを遠ざける方法かもしれない。けれど、そういう一時的な治療の代償は、自分がとても大事に気にかけていたことや、とても大切にしていた、けれど毎日消えてゆく人々に対して何も感じなくなる無感覚の状態。季節がいいかげんな沈黙へと変わり、心が離れていく様子を見ることのできる窓、それが無関心だ。

多分、僕はどうしても愛、希望、信仰にある美しさを見て、聞きたかったんだと思う。それが時間の経過と共に消え去る前に。その美しさにある光が、忠実な潮のように戻って来る人生への不安や、慰めを欲する不変の望みなどの様々な心配事によって、すり減らされる前に。どんな重荷も、暗闇から抜け出して自由になって、新しい光を歓迎するためのオープンな招待だ。それは僕が学んだことの一つであり、輝かしい街、タンジェに住んでいたときに経験したことだよ。

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自分がどこに所属しているかではなく、どれくらい正直に、目的に向かって自分の身を捧げられるか、それが究極的には、コミットメントの度合いを定義する。結局1日の終わりに、共に歩んだ旅の試みを信じる心も、同じ気持ちを共有する人たちに対して持つ(または持っていると信じたい)愛も、自分を納得させるために、どれだけ正直に従事しているかを打ち明けること、とは何の関係もない。

そして現実には、自分が本当にしたいことへと戻る。それが、密かに素晴らしく、酷く揺るぎなくても。究極的にはいつだって自分についてなんだ。そうではないと、自分で決断するまでね。その時こそ、感情的、肉体的な距離が完全に無くなるときだよ。じゃなきゃ、また新たに破られる約束となるか、嘘の奥底に隠れ続けるごまかしとなるだけ。そして、その嘘こそ、未来の決裂と人間の悲劇への道を敷くんだ。

だから、家に帰ってきて、他のメンバーやみんなとシェアすることで、僕と他の人たちとの間にあったかもしれない距離を素晴らしい恵みに変えてくれた。体と心を休めるために一人で時間を取ると決めるよりもずっと前からあった距離をカバーするために、誰かが何かをしなきゃいけないわけじゃないし、12ヶ月の亀裂なんてなかったかのように振る舞うこともしなくて良い。さっきも言ったように、それはここ数年、積み重ねてきた重荷から自由になるための招待であり、お互いに最も貴重な贈り物を与えるための招待だ。それは許し、そして、もう一度その正直な基礎から築き上げていくこと…一緒に。

これから先どうなっていくか興味津々だよ。『Between Illness and Migration』のシーズンが、発見すべき新しい不思議に満ちた状態への扉を開けてくれたんだ。それは、これから一歩一歩踏み出していくステップの全てに広がっている…今後の章から、この混乱した、けれど、それでもユニークに続いていく僕らを超える旅まで。

愛を込めて,
Alex

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PS:マッカイとレナードは僕が帰ってきて喜んだけれど、僕が持って帰ってきたおやつやおもちゃも本当に嬉しかったみたい。僕が最後にスタジオで作業したときから、セフのペダルボードが3倍ほど膨れ上がってたことを見ても…毛深さに関係なく、ボーイズはボーイズのままなんだね…!それは確実みたい! 😉

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