Nouvelle Vague

“愛の名のもとに…”

このテキストを書いたのは、ワシントンDCからバージニア州にある僕の隠れ家に向かう飛行機の中。LAへ行く前に数日間、ここに滞在するんだ。僕の Spotify プレイリスト“Digital Noises for Analog Souls”のために皆が送ってくれた曲を全部、聴いたよ。たくさんジャンルの違う曲があって、すごく感銘を受けたし、みんながその曲と持つストーリーを読んで感動した。こういう君のちょっとしたヒストリーを知ることができて嬉しいし、心をさらけ出してくれる、その信頼にとても感謝してる。そのおかげで、教えてくれた曲たちは僕にとっても意味深いものになったよ…音楽はまさに交流についてだ。

今週のプレイリストの公開が、バレンタインデーに近いというのは無視できない事実だった。バレンタインデーってあまり好きじゃないんだけど、この商業的な愛のお祝いにちょっとばかし「ノイズ」を加えて、僕自身も楽しむことにしたよ。君の特別なディナーを台無しにしないといいな。または、ファジーな夜の音楽に気まづい空気を与えなきゃいいんだけど。というのも、曲選びをしてた時に近くを通りかかった Jeffの言葉でちょっと不安になったから…
ジェフ:”おぉ!ウィークリー・プレイリストの準備だね?“最悪なデートがおかしな感じに終わった”っていうテーマのソングリストを作ってるの?気味悪くて良いサウンドだね!”
僕:”え、どういう意味?!”
ジェフ:”何でもないさ!曲は最高だよ。でも、もしもロマンティックな夕食とか甘い雰囲気についてなら…君のプライベートライフについて、色々物語ってるね、ブラザー!”
僕:”何だよ、それどういうこと?”
ジェフ:”別に”
僕:”え?!?”
ジェフ:”何でもないってば!そのままで大丈夫さ!プレイリストは最高だ!”

Week 4
アーティスト: Nouvelle Vague

だから、ジェフからの明らかな”ロマンチックいじめ”に関わらず、第4回“Digital Noises for Analog Souls”プレイリストのテーマ“愛の名のもとに…”にフィーチャーするアーティストは、フレンチバンドのNouvelle Vague。彼らは最も「解放」を表した、ムーディーなタイプのバンドだと思う。彼らのことは10年ほど前に、アクシデント的に知ったんだ。

君が覚えてるか分からないけど、過去、ずっと昔には、レコードストアという特別な場所に人々が向かい、様々なジャンルの幾千ものアルバムを手にとっては、個人的にアルバムを買ったりしていたんだ。その場所は音楽愛好家にとっては特別な場所で、そこで流れている色々な音楽との繋がりを求めていた。いわゆるソニック・テンプルって感じの場所で、その隠れた不思議を一度経験したら、またできるだけすぐに戻りたいって思う場所なんだ。何を発掘するか分からないから、それは魔法のようだった。店長が帰ったあとに店員がどんな音楽を流すのか…閉店1時間前こそ、クールな曲が流れる時間帯で、ボリュームもいつもより大きかったんだ。僕のような音楽好きにとっては、まるで天国にいるような感じさ。そう、変な名前のバンドやアーティストのこれまた変な曲を流してくれって頼むような奴らにとってはね。完璧だったんだ。

だから、数年前の夏の終わり、確か火曜の夜だった。いつものようにジャムをしに行く途中に立ち寄ったんだ。(今はリハーサルって呼んでる。その方がプロっぽいし、真剣だから。けど、やってることはただノイズを生み出して、気持ち良くなることさ)とにかく、当時は火曜日が新譜発売の日だったから、毎週レコードストアに立ち寄っていたんだ。火曜の夜、閉店1時間前。もう何年も僕の個人的な習慣だったよ…だけど、あの夜は特別だったんだ。

というわけで、どんな発見があるかとワクワクしながら、ノイズメッカに入った。The Crampsの「Human Fly」が流れていたよ。僕の大好きなバンドだ。それが店内に流れていたんだけど、なぜかボサノヴァっぽくアレンジされていた。僕は恐れおののいてショックを受けたよ。「どっかに隠しカメラでも置いてあるジョークなのか?」そして、「Human Fly」の次はBauhausの「Bela Lugosi’s Dead」。The Clashの「Guns of Brixton」、The Cureの「A Forest」、Public Image Ltd、Dead Kennedysが全てボサノヴァ風に…止めてくれ!!!どうなってんだ?!?!でも曲が流れれば、流れるほど僕は「でも実際良いな…というか、本当に…僕どうなっちゃったんだろ?!これが大人になるってことなのか?!僕も他の人たちと同じようにMichael Bubléファンになるのか?ちょっと待ってくれ、大丈夫かな?Fugaziファンの僕がびっくりしてる!」

もう一つの話は、一緒にレコードストアに来た女の子のこと。良い話にはいつだって別の側面があるだろう?!その友人は、Minor Threat、Black Flag、Swansとか、Bo Ningenみたいなバンドが好きな子だった。その子がこっちを見たから、僕はきっと「オーケー、このお店を燃やして、パンクロックの魂がこんな音にめちゃくちゃにされる前に国を出ましょう」って言うだろうと思っていたんだ。けど、違った。彼女はこう言ったんだ:「ほらね、私にとっては、こういう曲こそがロマンチックな曲よ。The Cramps、Patti Smith、Skinny Puppyの次にね。そう思わない?」僕は…言葉が出なかったよ。ようやく出たのは「本当に…こういう曲好きなの?」だった。彼女は「アルバム買って、ジャムしたあとにみんなで聴こうよ」と言い、アルバムを買ったんだ。残りのストーリーは、栄光とは言い難い…。

リハーサルが終わって、僕はCDを再生した。(言ったでしょ、数年前なんだってば。ジャッジしないで!)そうしたらセフは笑い出したんだ。笑うって言っても、本当に腹の底から笑ってる感じ…後に続くようにベンも、その場にいた他の友人たちも笑い出した。彼らが使った言葉はオブラートに包むよ。一般向けにはあまりにもグラフィックすぎるからね。他の言葉で言えば、あの日僕がNouvelle Vagueに抱いた驚くべき印象と同じ反応を示したのはジェフと、多分ミス・イザベルだけだったってこと。あの夜のあとも、時々、冷たい笑いを聞き続けたよ。ずっとずっと後までね!
結論としては、そう、このもう既に長いストーリーを更に長くするけど、4~5年前のある夜、みんなで集まっていたとき、僕のミュージックライブラリがシャッフルで再生されていたんだ。そうしたら、BOOM! Nouvelle Vagueが流れ始めた。Echo & the Bunnymenの「The Killing Moon」のカバー。ベンは「あぁ、これ!超良いよ!すげぇオリジナルだぜ!何て言うバンドだっけ?」そして続いてセフは「本当だぜ!感情が伝わってくるし、雰囲気はすげぇ良い感じに変わってる!」この光景はまるでアル・パチーノ映画『スカーフェイス』のように感じたけど、それよりも、もっとエモーショナルだった(それが可能なら!)明らかに、ベンとセフは過去のいじめのエピソードを覚えていないさ…まったく!

サイドノート:Nouvelle Vagueのコンサートには何度か足を運んだよ。一番思い出に残ってるのは、一緒にレコード店に行った子がチケットを買って招待してくれた時。ほらね、ジェフ、僕だって少しはプライベートライフを楽しんでいるさ 😉

*プレイリストは毎週更新されるので、このブログで紹介されている楽曲がリストに表示されない場合もございます。

Facebook
Twitter
WhatsApp