曲作りのインスピレーションを得た瞬間や状況を、はっきりと完璧に覚えていることがあるんだ。それこそ、その場に香った香水の匂いから、どんなタイプの明かりだったか、僕の隣に座っていた人たちの顔まで、まるでこの瞬間の意味を理解するために、時が止まったかのような。「Snowflakes in July」はそんな曲の一つなんだ。

実際、この曲は別々の3つの機会を通して発展していった曲だ。1つ目は、父が亡くなる瞬間を見たとき。7月7日から8日にかけての真夜中だった。母さんが泣いている姿を今でもはっきりと覚えてる。父の親友たちの悲しみに満ちた表情、病院の職員たちが慌ただしく動いている様子、僕のことを見ていた友人たち…覚えている映像は、実際の光景よりもクリアかもしれない。けど、音の記憶がないんだ…雑音すら全く覚えてないから、その悲劇的な現実が、夢っぽいフィルムとなって、自分以外のみんなの反応を映し出してる。僕は感情を完全にシャットダウンして、父のそばに横たわり、耳元で言葉を囁いて、額に最後のキスをして、部屋を出た。その4日後、僕は台湾のステージに立ち、何万人という人の前でパフォーマンスしたよ。心は空っぽのまま。

2つ目は、この2週間後。父の葬儀のあいだ、全く同じ現象を経験した。泣いている人たちの姿、一人一人写真の前へ行く様子、他の人たちは遠くで静かに会話をし、古くからの知人や親しくしていた家族は、僕の前で立ち止まって挨拶をしていった。何時間もの鮮やかな映像の欠片が集まって、つぎはぎに編集されたシーンのように、一時停止のまま点滅しているような感じだった。それも、全て音なしで。再び、心は空っぽのまま。

3つ目は、そのずっとあとのこと。タンジェへ向かう飛行機の中。その時はまだ数週間だけ滞在する予定だった。結果、トータルで2年になったけれども。機内で僕の横を通り過ぎていく人たち、泣いている子ども、説明をするキャビンアテンダント、TVにはセキュリティに関する映像が流れていて、僕はエージェントに質問を受け…8時間に渡って何百もの人生が、その全ての物語をキープするにはあまりにも小さい場所で交わり合っていた。でも、そこにも音はなかったんだ。あるのは空虚感だけ。そして、僕はこの旅に持ってきた日記帳に言葉を書き始めた。そこに書いた様々な言葉の中の一つが”この広い空のどこかに立って、明るい光の中で輝く宇宙に想いを巡らせる。自分は存在しないかのように感じながら。まるで7月に降る雪のように”というものだった。

2年ほどタンジェで過ごしたあと、モントリオールに戻ってきてから、ようやく歌詞を書いたんだ。『Windows in the Sky』のプロダクションに取り掛かる直前にね。この3つの出来事を思い出しながら、全くそのままを書き綴ったんだ。父の耳元で囁いた言葉から、葬式の侘しさ、そして宇宙の至るところから空を照らす光まで、僕はあまり自問せずに書き綴った。タンジェで過ごした2年の間で、そこにあった感情は色濃く曝け出され、ずっと答えられないままの問いかけや、直面する勇気がなかったその意味合いを露わにした。

ヴォーカルレコーディングの時に、最後のヴァースを加えたんだ。最後の記憶の証として、それを忘れていくことへの恐れ、思い出を失くすことへの恐れを告白した。声、望み、喜び…僕を人として形づけた全ての記憶、それはおかしくも、それまでの沈黙に意味を与えた。人生の最後をシンプルな写真として考えるときに今でも感じる空虚感と向き合わせてくれた。その写真は、破られた約束を後悔するたびに、どんどん色褪せていく。いつか、いつだって早すぎるんだけど、その時が来たとき、唯一大切なことは、他の人たちとどれだけ愛を分かち合えたかだ、と知っているから。それが、人の記憶に残る僕らのイメージになる。僕らが7月に降る雪のように去るとき。

– Alex

リリース日
20208月7

作詞&作曲
Alex Henry Foster

プロデュース
Alex Henry Foster
Ben Lemelin

参加ミュージシャン
Ben Lemelin
Jeff Beaulieu
Sef Lemelin
Miss Isabel
Charles Moose Allicie

レコーディングスタジオ
Upper Room Studio
Quebec, Canada

レーベル
Hopeful Tragedy Records