[Longueur d’Ondes] n°93 – 陰&光

掲載:Longueur d’Ondes

原文はこちらから

前身バンドYour Favorite Enemiesと共に、Alex Henry Fosterは素晴らしい成功を得た。しかし、その成功に伴うメディアのプレッシャーによって、彼は心に空虚感を抱くようになる。新しい冒険を始めるべき時だったのだ。そうして、彼はソロとしてのキャリアをスタートさせる。彼が十代をどっぷり浸かって過ごしたモントリオールの音楽シーンを離れ、彼は単身タンジェへ向かう。数ヶ月の滞在であったこの旅は、結局トータルで2年にも及んだ。ビートジェネレーションの詩人たちに好まれた街タンジェは、彼のような繊細なアーティストにぴったりな場所のように感じる:”タンジェには僕が知るルーツというものがないし、かと言ってこの街が変幻自在かというとそうでもない。父を失ったことは、僕に深い影響を与えたんだ。亡くなってから4日後に、YFEとして台湾のフェスティバルに参加して90,000人の前で演奏した。何もかもが遠くに感じたよ。家からどこか遠く離れた場所で一人になる必要があると感じた。それでタンジェへ向かったんだ。矛盾に満ちた街さ。完全にヨーロッパでもなければ、完全にアフリカでもない。そこで、アルバム『Windows in the Sky』を書いたんだ。創作のエッセンスを取り戻しながら、心の奥底にあった色々なものを解き放って、完全に身を捧げて書いた。そして、そこで、何となくビートジェネレーションの詩人たちと繋がることができたんだ”。だからこそ、”世界の重さは愛である”から始まる純粋な心を反映した素晴らしい詩を朗読するギンズバーグの声が、アルバム内でもメイン楽曲の1つである「Shadows of Our Evening Tides」の中に聞こえるのも驚きではない。Alexは疑いようもなく、彼が特に尊敬しているアーティストたち、Sonic Youth、Glenn BrancaやSwansの音に続くように、特徴的なジャンルとスタイルを持っている:”アートは感情のベクトルなんだ。100%自分の中に浸る必要があるんだよ”。 

Pierre-Arnaud Jonard

2020年10月2日

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