アメリカツアー2024 [コロンバス]

シカゴからコロンバスまでの道中はとても楽しかった。雨の降る寒い一日をものともせず、さまざまな会話をしたよ。バンドのグッズに詳しいマーカスは、不気味な軍隊の話をし始め、ギアやスタジオ、ビデオゲームについて穏やかに話していたベンとケリムを怖がらせた。現実の話は、どんなバーチャルなゲームよりもずっとインパクトがあるのは確かだ。フェリックスは音楽を聴きながら静かに本を読み、アメリカについて発見したことを僕らに教えてくれた。ミス・イザベルは経理をし(これはいろんな意味でマーカスの話より怖い)、ステファニーは写真を編集して旅先の風景を撮り、ムースは頼まれもしないのに何でもないことをしゃべり続けるセフの意味不明な話を生き延びようと景色を眺め、ジェフはYBが奇妙な理由で僕ら全員を西海岸に送り返さないようにしながらビジネスメールのフォローアップをしていた。僕はといえば、これから始まる夜のコンサートの精神についてゆっくりと考え始めていた。僕にとって別の都市は決してただの都市じゃない。それはいつも、真新しいオーディエンスに好印象を与えるにはどうしたらいいかということよりも、みんなと具体的に何を共有できるかということなんだ。もしそれが、忘れ去られるようなエンターテイメントや魂のないディスプレイを提供するためなら、自己嫌悪に陥るようなタイプのプロモーションなんか僕はどうでもいい。それなら、そもそも、ツアーに何の意味があるんだ?って思うだろう?

それに、久しぶりに会う友人たち、何人かは10年近く前に会った友人たちにも、みんな会いたがっていた。急に 「アレックスおじさん」になった気分だ!ファンだった人たちが友人となり、僕らのコンサートやオンライン・コミュニティ、ファンクラブを通じて愛する人に出会い、今は自分の子供がいると言ってくれるのは感動的なことだよ。そう、結局のところ、ずいぶん前に時間が過ぎてしまったみたい!モントリオールの郊外で騒ぎ始めた中途半端なミュージシャンの野郎たちから、1つのコミュニティごとに世界をツアーする、まだ中途半端でノイジーなバンドになった。これは僕らにとって大きな偉業に他ならない(あるいは奇跡だと言う人もいるかもしれない)。ひとつ確かなことは、僕らの逞しい友情と培われた愛情が、他の多くの人たちを刺激し、自分たちの夢やビジョンに命を吹き込むきっかけとなったことを誇りに思っているということ。最初からそれが目的だったのさ。

サウンドチェックのあとの控え室はみんな静かだった。それは、それぞれが集中してるってこと。ジェフがコロンバスという街の成り立ちについて話してくれた。それがどれだけダイナミックを持って生き生きし、クリエイティブだったかについて。そんな刺激的な情熱を経験することになるなんて、このときは少しも思っていなかったよ。ステージに足を踏み入れた途端、ただ心をオープンにするだけでなく、その瞬間を思い切り味わおうと決めた人たちの興奮するエネルギーを感じることができた。その一瞬の繋がりが、叫びや、ダンスやラウドな表現となって現れたんだ。僕らは本当に一体となっていた。たくさんの命のエネルギー、色、光を目にするのは特に感動的だったよ。本当に心打たれたね。

とはいえ、僕にとってさらに感動的だったのは、お互いが共有した素晴らしい音楽的、感動的な瞬間、時間が止まったようなひとときを過ごした後、物販テーブルに集まったときに、僕らがお互いに向けた熱狂的な愛情表現だ。こういう双方のハプニングはかけがえのないもので、今夜は特に重要だった。僕らは抱き合って笑い、安らぎと心地よさを感じた。旧友と新友が出会うのは美しかった。みんながお互いを歓迎し、人生の物語を分かち合っているのを見るのは、なんて幸せなことだろう。僕はもう一人のフォスターにも会った。その人とは、先祖の記録を調べて、共通の遺産を持つ可能性のあるルーツを見つけるつもりだよ。そして、旦那さんと一緒に僕らみんなを惜しみなくサポートし、力を与えてくれたとても優しい女性から「健康を守る」ブレスレットをもらった。ショーの後、チラシを配っている間にも、みんなとたくさんの心のこもった会話を交わした。なんて素晴らしい夜なんだ。
出発は朝8時。言葉を変えれば、朝食前に眠れる時間5時間…あぁ…!目的地:ワシントンD.C.!

面白い逸話:ワゴン車での生活は面白いもので、そういうナンセンスで面白い瞬間は、たいていセフが登場する。けど今回は、食べ物の皿を配るときは気をつけるようにと僕に説教したあと、ミス・イザベルがマヨネーズとマスタード入りの大きなサンドイッチを、僕らの前に座っているベンとケリムの上に落としちゃったんだ。誰もあまり大きな声で笑いたくはなかったけど、二人がそれにまったく気づかなかったことを考えると、余計におかしくてさ!かわいそうな人たち、気前よく食べ物を落とされることほど辛いことはない…ベンは24時間経った今も、服と座席をきれいにしようとしているよ!いろんな意味で、ミス・イザベルが僕に気をつけるように言ったのは正しかったね!