アメリカツアー2024 [シカゴ]

他のメンバーたちがここ2日間滞在していたホテルに僕を迎えにきた。というのも、彼らはオークランドからシカゴまで車で移動したから。今、僕にとって一番大事なのは健康を維持すること。特にこれまでも忙しい1年だったから。もしも、僕の心や気持ちがアップビートな状態なら、身体的なリミットを超えないように特に気をつけないといけないんだ。胸にある手術の傷跡が痛むことは稀だけど(グラフィックな感じでごめんね)でもその傷が痛むときは、スローダウンしろっていうサイン。そう、オークランドのライブの翌朝に感じたように。スローダウンというか、ストップしろって意味なんだけど、ただ筋肉が痛むだけで、危険ではないから、僕にとってはスローダウンの意味。だから、それに従うことにしたのさ。この決断は正しかったと思う。

リンカーン・ホールに到着すると、スタッフのみんながとても寛大に迎えてくれて、特別な夜になるって感じた。それと、この会場で行われたビジネス音楽クラスを目の当たりにしたことも感動的だったよ。音楽となると、人々の目から情熱が輝き出す。それを見るのはいつも信じられないくらい素晴らしいことだ。僕らが本格的にバンドをやり始めたときの、謙虚でまったくナンセンスな始まりに立ち戻ることができた。ここで開催されているプログラムがあれば便利だっただろうと思うのと同時に、あまりによく知られたやり方に合わせようとするんじゃなく、自分たちの道を明確にするために、自分たちでやるしかなかったんだと思う。確かにお金と時間は節約できただろうけど、これほど弾力的で創造的な人間にはなれなかったと思う。今の僕らがあるためには、大きな楽しみと大きな苦しみが同じくらい必要だったのさ。

サウンドチェックは上手くいった。ギターや他の武器になり得るものから攻撃されることもなかったよ。それだけで、良いサインだからね。だって、それはYour Favorite Enemies時代のカルマだから。目の周りが真っ黒になったり(セフのギターに感謝)、顎にヒビが入ったり(ベンのベースに感謝)、歯が欠けたり(モッシュピットに感謝)、タバコで火傷を負ったり(ブラックメタル会場で演奏したことに感謝)、頬に噛み跡があったり(ベルリンでエモのギグをしたことに感謝)、眉間の骨が切り裂かれたり(ステージに飛び込んできた男に額で抱きつかれたことに感謝)、肋骨のひどい打撲(2階のバルコニーから観客席に飛び込むとき、誰かがビール瓶を手にしながら僕を受け止めようとしたおかげ)などなど。僕のコンサートの心配事リストの中にセキュリティーなんてものは明らかに入ってなかったけど、今じゃそのリストの中でも死なないってのは上位にある!いかなるアクシデントや出来事について報告しなくて良いっていうだけで、いつだって勝利なんだ!
ショータイムはあっという間に訪れた。人の笑顔を見るのは美しかったし、ステージに向かう中でのオーディエンスの興奮を目にするのは嬉しかった。こういうちょっとした瞬間が、毎回のコンサートを意味深いものにするんだ。オーディエンスが、その瞬間と繋がろうとして、その経験を分かち合おうとしているのを感じられるとき、自分も音楽へと身を任し、音の精神に深く浸ることができると分かる。だから、僕がオーディエンスをこの共有の瞬間へと招くときに、それを受け入れてくれるかどうかを心配しないで済む。今夜は特別だった。バンドがリンクしている雰囲気を会場にいた誰もがとてもよく受け取ってくれていたんだ。拳を上に上げてさ。こういう個人の集まりが好きだよ。まるで、数え切れないほどの波の流れが、一つの大きな水の塊になっているかのような。改めて、これはエンターテイメントじゃないんだ。その心が高まるような満ち引きの一部になるとき、それは自分の人生を変える動きであり、それこそ今夜まさに感じたことだよ:自由。
この夜の最後には、僕らとの時間をより長く過ごすために物販テーブルに立ち寄ってくれた新しい友人との豊かでインスピレーション溢れる会話で締めくくられた。これほど、自然で自発的な経験はなかっただろう。ホテルへ向かうためにワゴン車に乗ってすぐ、毎回のライブのあとにフライヤーを配っているバンドメンバーたちにも、今夜のオーディエンスがどれだけ楽しんでいたか、僕らを知ることができて嬉しいか、またシカゴに戻ってきて、5、6、いや7曲のフルセットで2〜3時間のライブをしてくれるのが待ち切れないと言ってくれたんだ!ここにまた戻って来たら、きっと最高だねって話したよ…

PS:ライブ後に、ビジネス音楽のレクチャーを受けていた学生の1人が僕のところに来たんだ。「なんなんだ!君がステージ上で完全にロックしてるのを見るまで、ここの会場で働いているのかと思ってたよ!!!いや、マジで…信じられない!君たちはヤバイよ!一緒に話したとき何でバンドなんだって言わなかったの?本当に最高だった!しかもめっちゃ良い人たち!!!」きっとこの学生は僕らのライブを楽しんでくれたんだと思う…それと、僕らの会話もね!