[Journal de Québec / Montréal] Standing Under Bright Lights: 激しく偽りのない旅
掲載:Le Journal de Québec / Montréal
原文はこちらから
Standing Under
Bright Lights d’Alex
Henry Foster
2019年7月、ソロアルバム『Windows in the Sky』の楽曲を演奏するためにAlex Henry Fosterがステージに立ったとき、それは最初で最後となるはずだった。それから、およそ21ヶ月後の今、彼はこのコンサートの物語を伝えるアルバム&DVD『Standing Under Bright Lights』をリリースする。
電話インタビューの際、ケベックバンドYour Favorite Enemiesのシンガーである彼は、とても多弁だった。30分の予定だったインタビューは、結果1時間以上にもなった。
“2018年の11月に『Windows in the Sky』をリリースしたときは、このプロジェクトで成功したいとか、そういう野心はなかったんだ。とても個人的で内省的なものだったから。このプロジェクトでステージに立とうとは思っていなかったよ”と、Your Favorite Enemiesのシンガーは語る。
『Windows in the Sky』は、2011年に癌によって亡くなった彼の父親を称賛する心の旅だ。
“すごく個人的だったから、人の耳に届くと思わなかったんだ。あらゆる力を使ってあまり目立たないようにすらしたよ”と振り返る。
しかし突然、Your Favorite Enemiesとは全く違うサウンドのアルバムは、予想外の成功をおさめる。モントリオール国際ジャズフェスティバルのプログラミングをしている副代表のLaurent Saulnierは、フォスターの好きなように演出して良いという条件でClub Sodaでのコンサートをオファーした。
コンサートは2019年7月5日に開催され、総勢11人のミュージシャンと、プロジェクターによる映像効果、照明セットにより没入的な体験をオーディエンスに提供した。
“出演承諾までしばらく時間がかかったよ。人が2時間、苦悩を訴えかけるコンサートを果たして誰が聴きたいと思うんだろうかって思ってね”と彼は言う。
著書
Alex Henry Fosterは、ミニオーケストラ、ノイズ、フィードバックや弦楽器に囲まれることを望んだ。ゲストミュージシャンたちは、楽譜などはあるかと尋ねた。
“楽譜なんてなかった。この瞬間を直感的なものにしたかったし、みんなにもその瞬間や感情へとただ解放して欲しかった。このコンサートをアルバムの再現にはしたくなかったんだ。だからアルバムは60分だけど、コンサートは2時間だよ”と説明する。
ソールドアウトしたこのコンサートは大成功をおさめ、モントリオールでの2度目の公演をl’Astralで開催するまでに導いた。
ケベックをパンデミックが襲ったとき、Alex Henry Fosterは父親の訃報のあとに歩んできた自身の親密な旅について本を書き始めた。この本は今年夏の終わりに出版される予定だ。一部のファンからは、Club SodaでのコンサートをDVDにして欲しいという要望もあった。
“自分でも考えてみたんだ。それで、このコンサートは撮影されて、音源の録音も保存されてるって思い出した。サウンドは良く録れていたし、ライブの激しさも良く捉えられていた。ほとんど編集がいらないくらいにね。それは嘘偽りのない本物の瞬間だったから、それをみんなとシェアしたいと思ったんだ”と述べた。
『Standing Under Bright Lights』のオープンを飾った曲「The Son of Hannah」は、本番数日前のリハーサル中に生まれた曲だ。アイディアとしては、このライブのイントロダクションを提供することだった。
50分間のインタビューのあと、Alex Henry FosterはYour Favorite Enemiesが終わったわけではないと明らかにした。
“色々と考えていることがあるし、いつか、ニューアルバムも出すだろうと思う。そして、また戻ってくるときは、正しい方法で戻ってくるよ”と、正直で誠実なカムバックについて明言した。
ALEX LYNHAM
2021年4月17日