Nick Drake

“君のことなんか好きになりたくないのに…”パート2

今回も、みんなからの曲とそれにまつわる話を読んで、本当に感動したよ。とても心が痛むものから、ちょっと面白いものまでね!僕のウィークリー @Spotify プレイリストをただの曲の寄せ集めではない、より興味深くて意味のあるものにしてくれて、どうもありがとう。

だから、今回はフランス、パリに住むZoéからの質問に答えることにしたんだ:「初めての失恋はどんなものでしたか?そして、その心の痛みを乗り越えるためにどんなバンドやアーティストを聴きましたか?」

Week 6
アーティスト:Nick Drake

“最初の失恋の傷が一番深い”っていう表現が、心の痛みにおいて本当には何を意味するのか分からないけど、ハイスクール最後の二年間に、人生でこれ以上打ちひしがれることはないと思った経験をしたことがある。当時の僕は”愛”を他の子たちと同じように捉えていなくて、デートもしていなかったし、「この人と付き合いたい」って思われるタイプでもなかった。特に14、15歳の年頃の子たちにとって、ドイツの哲学者カントの視点やボードレールの作品にハマるような男は、カッコいいって思われる対象でもなければ、一緒にいて楽しい人っていうポテンシャルすらないんだということに早々に気づいたんだ。

だからこそ、初めての失恋は、別れからくるものじゃないけども、僕がハイスクール在学中ずっと深く思っていた人と意気投合することはないんだっていう酷い認識からくるものだった。でもそれは、数年にわたって、仲の良かった友人たちが僕の明らかな好意を様々な方法で伝えようとしなかったからではないんだよ…でも、僕は理想主義的なところがあって、秘密裏に最後に勝つのは人気のある奴じゃなくて、詩人なんだってどこかで信じていたのかもしれない…だって、そうだろう?!

まぁ、そういう大きな期待は見事に崩れ去ったのさ。ある月曜日(というか最悪の月曜日)に、僕が長年思い続けてきた人が、年上の人と付き合いはじめたっていう情報を友達が教えてくれた。良い車を持ってる人で(は?)モントリオールのダウンタウンに一人暮らししてる人(何だよそれ?!)。そのニュースがショックだったのと同じくらい、すごく驚いたんだ。だって、そのニュースは学校中で話題になっていたからね。最初は信じてなかったけども。(理想主義な上に否定していたんだ!)

その現実が痛々しくも心に染み込み、奈落の底へ沈められるような感覚になるには数日かかった。その痛みは、その特別な人と話したあとに特にリアルになったよ:「すっごく幸せな気分、夢見てるみたい!ホッケーやメタリカじゃないことを話せる大人な人と一緒にいれるのって最高!…あなたも良い人を見つけられると良いわね!」(ズキ、ズキ、ズキ)「彼の家で一緒に住もうと思ってるんだ」(ズキ、ズキ、ズキ)「あぁ、それと今週末一緒にライブ行けるかどうか分からないや」(死亡、死亡、憎悪)こんな感じで、僕は真昼間に不幸を見た。そして闇がきたんだ。

僕は当時、ハードコア、ポストパンクとゴスロックにハマっていたけど、驚いたことに、この時期に聴いたのはダークフォークで、それがきっかけで、ニック・ドレイクの作品を深く尊敬するようになった。彼は今は亡き僕の父が、この出来事の何年も前に聴いていたアーティストで、父の膨大なLPコレクションの中で見つけたんだ。ドレイク(ニックの方ね。自分で曲を書いてる人。違う方のドレイクと勘違いしないで!)は、まるで僕への話し方を知っているようだった。彼の言葉はとても特異なかたちで心の奥深くで響き、失恋の痛みをカバーするというよりも、ある時点では感情の通過儀礼のように感じたんだよ。まるで、とても強く信じたものを失うことで、残りの僕の人生を定義する何かを見つけたみたいな。それは自分を表現する声かもしれないし、深い気持ちを伝える言葉かもしれない。ドレイクがまるで、囁きこそ最も複雑な気持ちを体現でき、静かな音楽こそ、僕が当時聴いていたどんなハードコアバンドよりも、大きく叫ぶパワーがあると教えてくれたようだった。フリをする必要も、逃げる必要もない。ただ、深く、深く向きあうのみ。

“Pink Moon”は、何となくこの時期、音楽的に要となったよ。僕はのちにニック・ドレイクの作品とその生涯を知ることになる。僕はよく、自分と似たような葛藤をシェアしている人やアーティストに惹かれるんだ。鬱や不安症との闘い、そして、それが導く引きこもりがちな生活など。彼は悲劇的にも自分で命を絶ってしまったけど、僕にとって彼は、自ら絶望の中に留まり、独りでいるとき、闇が究極的にどこへ導くのかを示す鮮やかな例であり、ドレイクが書いた素晴らしい曲以上に、彼を意味深い存在にしてくれている。

当時、僕がすごく好きだった人についてだけど、数週間後に聞いたニュースでは、もうモントリオールに住んでいなくて、私立のハイスクールに通い始めたということだった。僕らが再び会うこともなければ、話すこともなかったけど、もしも会えたならドレイクの素晴らしいアルバム『Five Leaves Left』を聴いて、心の痛みを乗り越えなよって言っただろうと思う。

*プレイリストは毎週更新されるので、このブログで紹介されている楽曲がリストに表示されない場合もございます。

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