僕は今も目覚めているのかな…

僕の1日はとても早く始まった。朝7時半に”デッキ”にいたよ。(乗組員よりも前にキャプテンが船の上にいるようにね)今日のスケジュールは、アルバム作り以外のことがたくさんあったから、あまりスタジオには有利じゃないなと思って。これからリリースされる音楽プロジェクト(もうすぐ詳細を知らせるよ)のデザインに取り組み、そのあとは会計士さんとの電話(ハロー、確定申告、元気だったかい?)、そしてマネジメントとのミーティング。その全てが、Upper Room(大広間)と呼ばれるリハーサルルームで、「Architect Of Time」のあとに取り掛かる曲を探っていたバンドに合流する前に予定されていたんだ。


スケジュールに関しては、いつものごとく、全てがずれ込んだ。プロジェクトのヴィジュアルを手掛ける僕の”副操縦士”であるStephanieは、体調を崩してオフィスに来られず、会計士と30分のミーティングの予定が90分になり(銀行に電話したりも色々あって)、それによって、マネジメント会社とのミーティング前にMikkoと話す時間はわずかなものとなった。毎週しているこのビデオミーティングは、僕をとても励まして、活気を与えてくれるフレッシュな時間になってる。支えられていると感じることが、こんなにも活力を与えてくれるなんて知らなかったし、信じていなかったよ。ここ最近、自分の閉じた世界から抜け出した感じがすごく力になってるんだ。もっと前に進んでいける自信もついたし、自分のクリエイティブな世界が情熱的に大事にされてるっていうことが見えてきたから。最初にインスピレーションを受けた感情が、それを越えて、やがて好ましい環境で開花するのを見ることは、僕にとって活力を与えられるような経験だ。特に何度も光を与えようと方法を探してきた航海への陰った視点に何年も費やしてきたあとはね。

それはそうと、バンドのリハーサルスペースであるUpper Room (大広間)に入った途端、胸を打つような明るい光があった。Benがギターで、Mooseがドラムで…Mikkoがベースを弾いていたんだ。というのも、JeffとMiss Isabelは僕と一緒にマネジメントのミーティングに出席していたからね。彼らは、僕が仮タイトルとして「Awake」と名付けた激しい曲に取り組んでいた。バンドが複雑な精神のアイデンティティを掘り下げていたとき、僕が直感的に書いた歌詞の一部をもとにしたものなんだ。僕が唯一、彼らに与えた方向性は:「手術から目覚めた時の混乱の中で体験したパニックによる不安な状態。自分が目覚めているのか、眠っているのか、生きてるのか、死んでいるのか分からない瞬間。死に近い経験による残像が脳に焼きついていて、意識を取り戻したときに、本当に自分の感覚が戻ったのか分からない状態、というかほとんどの場合、実際には意識を取り戻していない状態」僕の場合、その時に見たのは、父の姿だった。僕を家に呼んでいる父。暖かい光の輪の中で、青い目を細めて穏やかな笑顔で僕の方へ来て、子供の頃に望んだように優しく抱きしめてくれた。心が満たされたあの感覚を僕は忘れない。最近、父の夢を見た時に感じたものなんだ。マッカイも彼の隣にいた。彼らと一緒にいるために全てを諦めても構わないとさえ思った。それを思うと、少し混乱するよ。自分で認めたい以上に、僕は彼らを恋しがっているんだろうか?時に耐えられないほどなんだ。

この日は一日中、演奏していた。様々に重なり合っている感情を理解しようと努めるMikkoと一緒に。今日は思い切りヘヴィに打ち込む必要があったんだ。少なくとも、僕は。肉体的にも、精神的にも酷く疲れてきていた。なんでか、1日中、泣き出しそうな気持ちだったんだ。内側から感情が崩れ落ちないように、自分の中で戦わなきゃいけなかった。僕はマッカイが恋しい。そして、Stephanieが体調を崩したことによって、マッカイが亡くなる最期の瞬間を何度も頭の中で思い出していた。やるべき事はやらなきゃいけないし、アルバム制作にも集中したいし、他にも色々とやることがある中で、この感情の抑制は一時的なものであると分かってる。やがて、耐えがたい痛みの壁が崩れ、思い切り生きれるときが来ると。それは今日や明日じゃないけど、いつかやってくるのさ。それは一緒に過ごした最後の朝に、マッカイに約束したことの一つなんだ。まずアルバムを作って、そのあとに思い切り涙しようって。きっと、あまり健康的じゃないだろうし、変なんだろうけど、それ以外の方法を僕は持っていなかった。


“今も目覚めているんだろうか…自分らしくない気がするんだ”