At The Barrier – Alex Henry Foster & The Long Shadows – The Deaf Institute, マンチェスター:ライブレビュー

掲載:At The Barrier

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Alex Henry Foster & The Long Shadows – The Deaf Institute, マンチェスター 2022年6月25日

たった数年前、私たちはTrail Of Deadのサポートアクトを務めていたAlex Henry Fosterの足元に立った。ステージ前方にあったモニターに体を傾け、Night & Day Cafeの最前列へと今にも落ちそうになっていた姿を見たのが初めての出会いだ。その後、見逃せないアクトとして記憶に残り、The Pineapple Thiefのツアー(既に要注目のギグ)のサポートを務めると発表したとき、再び観に行くことは即決だった。

ヘッドライナーとしてUKとヨーロッパに戻るチャンスを与えられた彼は、既存のファンはもちろんのこと、このサポートアクトで掴んだファンたちの注目も集めたことだろう。その証拠が私たちである。サポートアクトもしっかり観るというのが、私たちのモットーであるし、特に海外から時間をかけてやって来るバンドには、その後のライブのステージでも、ぜひ実を結んでもらいたいと願っている。

サポートアクトと言えば、ハリファックス出身のLast Of Edenだが、シングル「People Like People Like Them」が、AlexたちのレーベルでもあるHopeful Tragedyからリリースされたばかり。彼らが、今回のライブの幕を開け、馴染みあるシングルのキーフレーズ – “I’m as mad as hell and I’m not going to take this anymore” – を歌い、オープニングのセットを締めくくった。駆け出したばかりの良いバンドで、今度注目すべきアクトだ。

そうして、Alex Henry Fosterが登場し、ライブハウスからステージに持ち込む楽器機材の数の多さで新記録達成の証明書を受け取ったと冗談を言う。更に、The Deaf Institueの2000段ある階段(ここは誇張してある)には参ったと。彼はあながち間違いでもないだろう。バンドは小さいスペースでの演奏に慣れた様子だった。きっと、健康&安全のトレーニングを受けているんだろう。ステージマネジャー/テックでさえもオフステージで仕事をし、グッズ販売のテーブルの近くで常に待機し、楽器トラブルが起きた際にすぐに駆け付けられるよう準備万端だ。基本的なギター、ベース、ドラムの音を変換するエフェクターボードやガジェットの膨大な数、そして、それを使って奏でられる音は、驚くべきものだった。AHFが、モーターのグリルに各足を乗せてバランスを取り、まるで巨人のようにステージをまたがって、少しでも動ける場所を見つけると言うトリックを披露するのも不思議ではない。

そして、彼の動きといったら。バンドが生み出す音を支えながらも、あらゆる方法で弾かれるギターを抱えるようにして、彼は自身の体を捻り、コントロールしていた。フルート、クラリネットとトランペットの音でしばしば装飾されていた曲もあった。「The Ouverture」は15分ほど続き、その夜に通る道へのイントロダクションだ。しかし、始まりから、2人のギタリストが、バイオリンの弓を使うギグをどれだけ観る機会があるだろうか?始まりから!!知らない人がいるのだとしたら、このライブは通常とは少し違うもので、少し特別なものになると感じたことだろう。

楽曲のムードは揺れ動き、ダイナミクスは驚くべきほど突然、そしてドラマチックなインパクトを持って移り変わる。照明は鮮明な色合いで曲の雰囲気を映し出し、ステージの後ろからストロボで目を眩ませる。AHFが深く個人的な瞬間へと浸かっていくにつれて、その激しさは圧倒的なほどだ。苦悩と痛みが支配していくように感じられるが、曲の合間の喋りはポジティブでアップビート。音楽と言葉;心の奥深くから溢れ出る感情。彼は何度か、亡き父親について触れ、その痛みが完全に無くなることはなくても、自分たちの時間を味わうことが大切だと話す。「これは本物だ…これこそ本物だ!」と、クールなアンビアンスの「Shadows Of Our Evening Tides」が、最後クレッシェンドでフィナーレへと向かう中、熱を込めて叫んだ。彼が最初にステージを去り、私たちは一瞬The Long Shadows(彼が”オープン・エンティティ”と呼ぶ5人の楽器隊)へと目を向ける。彼らもまたこの2時間の旅路を続け、繊細で細かいニュアンスに溢れたサウンドトラックをパワーを損ねることなく提供してくれた。

典型的なAHFのセット。彼の壮大な楽曲たちをこう呼べるのなら、今回のセットリストは”ヒット曲”で構成されていた。「Summertime Departures」、「The Hunter」(今回のセットの大部分を占める)、そして「The Pain That Bonds」は、延長され、よりスケールの大きくなった楽曲たちの中でも中心的な曲だった。バンドは、楽曲を調理し、温め、そして会場中に響き渡るように爆発する。「The Pain That Bond」の不吉な振動が、その夜に来るもののヒントを与えていた。

このツアーのプロモーションには‘Not all wonders have been lost’(全ての感動が失われたわけじゃない)という言葉が掲げられている。催眠的で心が高揚する体験をしたThe Long Shadowsとの数時間を、この一文が素晴らしく表現している。

Alex Henry Foster online: Website / Facebook / Twitter / Instagram

Last Of Eden online: Facebook / Twitter / Instagram / Youtube

MIKE AINSCOE
2022年6月27日

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