エディション20
『Windows in the Sky』を記念して

先週のコンサート鑑賞会に参加してくれて、どうもありがとう。曲やパフォーマンスに関するみんなの視点や想いを知るのは、いつもとても感動的だから、こうして分かち合いの時間を持てるのは、僕にとって素晴らしい特権だよ。

でも、ライブ中のチャットでは全ての質問に答えられず、また200文字という制限の中で全てを伝え切るのは難しいことだったから、時に流れが早くなるチャットで見過ごしていた質問や、またメールやソーシャルメディアで受け取った質問にも、この機会に答えることにしたんだ。

質問やコメントを送る時間をとってくれて、どうもありがとう。僕にとって大きな意味があるよ。

愛を込めて,
Alex

君の問い、僕の答え

ちょっと話題からズレてるかもしれないけど、あなたは様々な人道支援に携わってきたようなので、今起きているロシア侵攻についてどう思いますか?今後のツアーに響きますか? – Martin, Belgium
このイベントの最初の方に少し話したように、僕はウクライナの人たちが耐えなければいけない危機に深く困惑し、ショックを受け、影響を受けている。ウクライナだけでなく、ロシアにも、ポーランド、ハンガリーやベラルーシにも大切な友人たちがいるんだ。彼らはみんな無事だそうだから、ホッとして感謝しているけど、ある人間による魂のない専制政治や経済的な血の味を求めた結果、多くの命が奪われていることに、嫌悪し、怒りを覚え、吐き気がする思いだよ。立場を明白にし、人々を繋げるために直接、貢献することが僕にとっては大事なことだから、僕が始めることにしたプロジェクトについての詳細をもうすぐ発表するよ。その間、もしも余裕があって、支援したいと望むなら、ウクライナの赤十字に寄付をしてあげて:https://www.jrc.or.jp/contribute/help/ukraine

今後のツアーについてだけど、ここ2年で学んだことがあるのだとしたら、それはいつでもオープンであり続け、自分でコントロールできないことへの期待をうまく処理すること。今でもポーランドとハンガリーとその他まだ発表していない場所もツアーできると信じてる。でも、一番大事なのは人々の命であり、自由であり、彼らの安全と自由な意思決定だ。それ以外は、それ以外でしかない。たとえ、多くの人にとって大切なことでも、ツアーで向かう場所のいくつかは、世界的な視点をもたないといけないと思ってるよ。
Alex、ステージ上のものに興味をそそられたんだけど…ハロー・キティと他のぬいぐるみにはどんな背景があるの??? – Mpano, France
世界中の友人たちから受け取ったプレゼントなんだ。コンサート前、僕はものすごく緊張して不安になるから、自分は1人じゃないっていうリマインダーとして勇気をもらってるよ。
ライブ配信のセットリストはアルバムと一緒? – Kevin, UK
アルバム最初の3曲だよ。(「The Pain That Bonds」、「Winter Is Coming In」と「Shadows of Our Evening Tides」)僕の中では、感情の旅における最初のアクトって感じかな。
楽曲「Winter Is Coming In」の様々な言語はどこで入手したんですか?ニュースキャスターたちの声かな?それとも何か違うもの? – Dave, Netherlands
知っての通り、僕は多くの人たちと近しい関係にあって、世界中に友達がいる素晴らしい特権を持っているから、楽曲に少しサプライズを加えたかったんだ。みんなのことが恋しいよって伝える僕なりの方法さ。
数週間前にジャズフェスティバルの大きなステージで演奏するあなたを見ました。その時は全く(ほとんど)動いていませんでしたが、今回は違うように見えました。そこに何か理由はありますか? – Sofia, Switzerland
安全な答えとしては、ジャズフェスティバルのコンサートが開催された特別なコンテキストにあると言うことかな。地元開催のコンサートで、家族や友人の前、亡き父親の思い出へのオマージュとして一夜限り限定のセットアップだった。自分が演奏する最初で最後のコンサートとして開催したんだ。その後、活動を続ける気持ちも、ソロキャリアを始めるプレッシャーもなかった。ステージに立つのはこれが最後だと思っていたし、僕はそれで良かったんだ。全ては楽曲に込めた魂についてであり、解放についてだった。あの夜に経験した心の自由を予見していたわけでも、ステージや会場にいる人たちとの親密な繋がりがどれだけ解放的なものになるかを想像していたわけでもないけれど、この経験がその後に続く特別な瞬間へと導いたことは確かだ。

最も誠実で正直な答えは、最初のコンサートから昨年の秋に開催したThe Pineapple Thiefとのツアーに至るまでに起きた変化にある。少しだけど、心の平和を感じることができ、付き纏う不安も薄れ、周囲からの期待に対するプレッシャーもなくなり、周りを楽しませなければいけないという自らが課した視点ではなく、人々と交流し、その瞬間を味わうことに集中することができるようになった…それは全て、ありのままの自分を受け入れることであり、そうでないことを拒否することにある。シンプルに聞こえるかもしれないけど、そして、実際そうなのかもしれないけど、僕にとっては長年葛藤してきたことなんだ。自分の関わるものが何であれ、それが競争的なスポーツであろうと、シアターを始めた時であろうと、アートのクラスで自分を表現した時であろうと、歌詞を書いて、作曲する時であろうと、様々なプロジェクトのビジネスに関することであろうともね。僕はとても直感的な人間であり、だからこそ、オーガナイズされた宗教に関わったことで、心がめちゃくちゃになってしまった気がする。それは信仰に関することではなくて、またはアンチ宗教の宣言でもないよ。ただ僕がいた状況、環境がそうだっただけで。自分に受けた期待や、僕がするべき物事、そのやり方に囚われたように感じたんだ…今でも続く権力闘争に、人間関係などのコミュニティの問題…その全てに巻き込まれてきた。これまでのように直感的になることは、この先、ないかもしれないと受け入れるには時間がかかったよ…少なくとも、この先ずっと、躊躇う気持ちや疑う気持ちと闘わないといけないんだろうと思ってる。そして、日々が経つにつれ、僕はより自分自身を知る。いつもより辛い日もあれば、素晴らしい日もある。それは自己を受け入れる旅なんだ。降参ではなくてね。だからこそ、”教会”について敵意を抱いてはいないし、後悔もしていないし、最近まで関わっていたコミュニティに対して怒っていもいない…
背景に海が見えました。何故、海なのですか?何か特別な意味がありますか? – Julien, France
海や水は僕にとって意味深いものであり、創作に大きな影響を与えるものなんだ。それがいつからかは覚えていないんだけど、海にはいつも深い魅力を感じていた。そのスピリチュアル的な象徴から、詩的な側面まで。それは誕生であり、復活であり、愛、贖い、死…そこには多くの要素が関連していて、その人の文化や信仰によって、様々に違う視点がある。なんで、こんなにもそのユニークなエッセンスに魅力を感じるんだろうって思ってきたけど、多分、それは子供の頃から始まっていたんだ。母曰く、僕があまりにも海や水に興味を持っていたから、湖の近くにキャンプをする時や、プールを持っていた親戚を訪ねるときは、毎回、みんなの心配の種になっていたらしい。実は子供の頃に溺れかけたこともあるんだけど、それでも嫌悪感を抱いたことはないんだ。むしろ、余計に惹かれていき、インスピレーションを感じながら育ったよ。
「Shadows of our Evening Tides」の中で、手放すことについて歌っていますが、今のあなた自身になるために、手放したものは何ですか? – Marc, Germany
難しいな…あえて言うなら、幻想と見せかけかな。でも、主に後悔かも。話したいことがたくさんあるときに、もう父さんと話すことができないんだと後悔すること。自分の旅に集中すべきだった時に、多くの時間を他人やプロジェクトに割いたと言う後悔。前のコミュニティをもっと早く去るべきだったという後悔。自分の人生、自分の夢や才能を、掴みどころのない理由によって台無しにしたという思い。だけど、どれだけ一生懸命頑張ったとしても、何一つ変えることはできないと受け入れることについてなんだ。そして結局は、これまでの経験が今の自分をつくっている…弱い人間、そうさ。でも、人よりもセンシティブなんだろうと思う。そして、だからこそ創れるものがある。外部との接続を断つ方が簡単だけれど、そうではなく、他人を再び信頼するチャンスを掴み、僕の人生に人を迎え入れながらね…
スタジオが教会内というのが素敵ですし、「Summertime Departures」に鐘の音を加えたのも素敵です。この音を加えた理由は何ですか? – Lisa, Canada
曲中の音は人生や、様々な瞬間や、目に見えないものの中に浮かぶものや、目に見えるもの、またはこの世のものではない存在を映し出したもの。「Summertime Departures」は、亡き父親と僕の間に存在した緊迫感について。僕は、気持ちの面でも、行動の面でも、完全に独立して育てられたんだ。父とより深いレベルで繋がろうとしたとき、父は恐れを抱いた。どう対応して良いのか分からなかったんだ。きっと僕とは、特に。だから、僕の曲で様々に響く音は、確かなものとして捉えられないものや、はっきりと表現しきれないものを映し出してる。それが表現し、意味し、主張するものに含まれる深い感情を自分でも理解することができないんだ…自分で認めたり、理解できない苦痛を昇華させる方法なのかも…
過去を抜けて航海できたら、何をしたいですか?(「Summertime Departures」の歌詞より) – Jacek, Poland
亡くなる前の父の手を、もう少し長く握っていたい…
楽器を演奏することに慣れてきたように見えるわ。今後、トライしたい新しい楽器はある? – Sabrina, UK
ミュージシャンシップや楽器について話すのは、いつだって面白いことだよ…知識や学位を嫌っているわけじゃないけど、僕にとって、特に意味のあることでも、特別な気持ちを抱くことでもないんだ。感謝しているし、作品を素晴らしいものにする究極的な献身に価値を見出しているけれど、僕にとって、楽器は感情を満たすもの。感情を伝えるための道具の一つだ。だから、僕はサウンドのテクスチャーが好きなのさ。目に見えないものへと僕を導いてくれる、その能力に取り憑かれている。僕らの感覚を呼び覚まし、身の周りにある音によって伝えられる深い側面を魂と心に思い起こさせてくれる。それは、命、愛、希望を呼び起こし、また死や悲しみにも光を当てる。時には、同じ曲の中にその全てを感じることもあるだろう。だから、僕にとっては、楽器についてではなく、それが生み出すトーンや、それが僕らの中に呼び起こすもの、または生み出すものについて。きっと、だからこそ、どんな”感情を描く筆”をも手にすることを恐れないし、その本質についての主観的な先入観もないんだと思う…
楽曲「Shadows of Our Evening Tides」のヴィジュアルイメージにAlexが日本を選んだ理由はありますか? – Tetsuo Moriya, Japan
僕にとって、日本の人たちは特別な存在なんだ。Your Favorite Enemiesというバンドを始めた2006年に、僕らの音楽や世界観をいち早く歓迎してくれたのが、日本の人たちだった。当時は毎週ブログを書いていて、そこで文化、社会、心に関する話題や、アート、政治などについて話していた。数名の友人たちが、本当に素晴らしく手伝ってくれて、忠実にブログを日本語に訳してくれていた。だから、YFEの日本のサポーターたちと僕との関係は、とてもパーソナルなものになり、週一回シェアするブログに基づいたサポートグループ的なものから、メンバー同士でやりとりをしたり、心を打ち明ける、素晴らしくユニークな交流の場へと発展していったんだ。それによって、僕の関わり方もより親密になっていったよ。僕が中心にならないといけない、って感じるよりも、ただありのままの自分でいられたんだ。だからこそ、その包括的なグループは僕にとっての避難所となった。当時、それは僕にとってとても価値あるものだったんだ。というのも、どんどん大きくなっていくバンドのリーダーとしての現実(と幻想)に、悩みを抱えていた時期だったから。ゆっくりと自分を見失っていく孤立感から、僕を救ってくれた。僕には、心に平穏を見つけるために、そのジャッジされない雰囲気が必要だったんだ。僕はその雰囲気を、2007年に初めて日本に行った時に見つけたんだよ。

実際、あの旅は僕にとって、その後の人生を変えるような旅となったんだ。それまで経験したことのない礼儀や親切心に、まるで故郷のような感覚を覚えた。それは光り輝く美しさや、対人関係を通して、物理的なものではなく、精神的なものだった。そこには繊細さがあり、観光のパンフレットなどで見る以上に心が震えたんだ。それを「Shadows of Our Evening Tides」の映像を通して表現したかった。日常にある奇跡、気づかれることのない心の震え、知らない人から受け取る本物で誠実な笑顔、肌を撫でるそよ風、日常、故に人生を映し出す電車…普通の幸せと言われるものの中に、普通なことはないんだと思う。だからこそ、このビデオはとても瞑想的というか、観た後に色々と考えさせるものがある。それは自分を映し出したものであり、個人的な旅、みんなとの旅をどう経験したいかについて映し出している。どこまで遠く行けるか分からないけれど、どう終わるかを知らないことがどれだけ恵まれたことかを理解するとき、僕らは人生を具現化することから自由になれる。ただ、ありのままの自分でいれば良いんだってね。
今年、新しい曲をリリースする予定はありますか???Alexの曲が聴きたいです。 – Tsugumi, Japan
もちろんさ!!!!待ちきれないよ!!!!
6月のツアーでSeveral Speciesをカバーする予定はある?– Neil, UK
良い質問だね。2時間半のセットで僕の曲をどれだけ演奏できるか見ているところだから、カバーについてはまた考えてみるよ。
今ツアー用のバンを見つけるの大変じゃないですか? – Dozbik
ここ2年がどんな感じだったか分かっているだけに、それは面白い質問だね。海外ツアーに出ようとするバンドが関わるブッキングや再ブッキングなどについて、僕らはもうエキスパートって言ってもいいかも。そのロジックについてね。というのも、パンデミックによる不安定さは、いつだってストレスだし、リスクを追うことになるから。どんな風にツアーしたいかを自分で決められる素晴らしいポジションにいようと、多大な制限のもとに実行しないといけない場合も、全ては予算がどれだけあるか、ツアーの期間はどれだけか、そのツアーに同行する人数と、旅程の複雑さと、国ごとに違うコンディション(既に知名度があるか、それとも発展途上か)によるかな…たとえ、事前の計画が完璧に見えても、ツアー中は様々に予期していなかったアクシデントなどが起きる。すべて滞りなく管理するのは難しいことだ。特に海外アーティストとして向かう場合は、悩ましいよ。だって、訪れる国の数ほど、違う規則があるからね。特にBrexitは酷だ。提出しなきゃいけない書類が増えるし、支払うお金も増えるし、その分、カスタムの時間もかかる…すごく複雑で、悪夢のようだよ。だから、熱意に溢れたチームがサポートしてくれていることに感謝してる。でも、そのすべて、本当にその全てを、ライブ会場に入る最初の人を見た瞬間に忘れるのさ。どんな複雑で悩ましいことも、みんなで分かち合って経験する純粋な心の交流に比べたら何でもないんだ。

あぁ、そうさ、バン…!予約したよ!2台!
パリでのライブ後、あなたと話す時間はありますか?- Bastien, France
もちろんだよ、Bastien!だからこそ海外ツアーをするんだ。みんなと分かち合う時間がなければ、ただのノイズだからね。
ポーランドでのライブについては?コロナと今は戦争のこともあって、予想することすら不可能だけど…音楽は希望だし、今すごく必要なの。 – Barbara, Poland
7月21日にクラクフでライブをする予定だよ…僕らは戦争によって酷く影響を受けている友人たちの味方だから、そのとき、どうなっているか様子を見よう…
次にドイツのハンブルグでライブするのはいつ? – Silke, Germany
ハンブルグは6月7日だよ。君に会えたら嬉しいな!The Pineapple Thiefとのツアーでキャンセルになった時はすごく残念だった。

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