音の世界旅行&ピザボーイ事変

本部に到着した直後、すぐにスタジオに戻った。レコードプロデューサーやエンジニアがもうすぐ到着することを考えて、僕はクリエイティブな素材をできるだけ多くカバーしたかったんだ。もしかしたら、その中に僕の心を打つような曲の一片があるかもしれない。だから、こういうプロセスは関わる人みんなにとって長くて疲れるものなんだ。僕は、それが適切かどうか、それが”これ”かどうか、意味をなしているかどうかに関係なく、トラックをスキップするのが好きじゃない。それらの音を無意識の中に浮かべておきたいんだ。だって「いや、違うかな」っていうような曲から何が現れるか実際分からないから。過去にあまりにも多くの場面で、僕は”間違って”きたから、自分が探していると思っているものについて、自分を信じることはできない。だからこそ、アルバムが完成するまで、それは僕の”いいアイデア”から解放されていなければならない動きのある実体なんだ。

スタジオセッションの途中で、自分のエネルギーレベルがとても低くなっていると感じた。こういうときは、集中力を保つのが難しいんだ。僕は立ち上がって、座って、立ち上がって、水を飲んで、コーヒーを飲んで、コーヒーは少し量を減らさなきゃってのを思い出して、スタジオへと戻る…自分を曝け出して曲を書く人だけでなく、それがインスパイアされたり、開花したコンテキストなしに、みんなのためにそれを演奏する勇気を持つ人への愛と敬意がそこにはある。それは、とても謙虚なプロセスなんだ。だから、それに従って行動することは大切なんだよ。特に、数年前、Your Favorite Enemiesのアルバム『Between Illness and Migration』に取り組んでいたときに、後ろのソファで居眠りしていたSefとMooseを見て、僕がどれだけキレたか覚えているからね。喧嘩でなくても、口論を始めるのに十分なほど失礼な行為だ。Jeff、Ben、Miss Isabelと僕が彼らの目の前に立って、うるさくスネアドラムを叩いたときに、混乱して目覚めた様子を見たあとではね。誰も2度とこんなことが起きないようにと願ったよ。目覚めの音のあとにした会話はここでは省くね…疲れているなら、戻ってこれるように一瞬時間を取る。本当に疲労困憊しているなら、ベッドへ行く。そして、僕は徐々にそこへ向かっている感覚がしたんだ…Benが自分の作った曲のプレイリストを流し始めるまではね!僕らのクリエイティブなマインドを広げるために、世界の様々な楽器を使って演奏したんだ。みんな、一気に目が覚めたよ!

最初の曲はアラビア系だった。伝統の楽器を使った、ものすごくアラブって感じの音色。2曲目はフルートとアイリッシュな雰囲気の曲だった…というか、すごくアイリッシュって感じ。3曲目は、大作だった。ロード・オブ・ザ・リングのサウンドトラックみたいな。戦いの地を駆け抜ける馬の音が聞こえてくるかのような。4曲目は、アジア的なリズムのドラム、中国の笛のループ、楽琴ギター、ツィターで作られていた。これらの曲には、特に誰も反応を示さなかった。とても静かだったんだ。そこで突然Benがこう叫んだ「マジでさ、俺は確実に創作ワールドツアーに出てたよな!もうダメダメだ、俺がこんなのやったなんて信じられない!」みんな笑ったよ。そして、後ろのソファに座っていたMooseとJeffの方へ顔を向けようとしたとき、コーヒーをスタジオのデスクに盛大にこぼしたんだ。コーヒーが至るところに飛び散った。キーボード、ノート、ワイヤー、僕のiPad、椅子、床、ジーンズとシャツにまで…10ガロンのコーヒーがスタジオのコントロールルームに溢れたかのよう。この被害を小さく収めようと、Jeffはタオルを取りに走り、Miss Isabelは掃除用の製品を取りに行き、Benと僕がティッシュでできるだけ水分を吸い取ろうとしている間、Mooseはキッチンへ向かった。このカオスが落ち着いてから5分くらいしたところで、Mooseが戻ってきた。タオルも何も持たず、とてもリラックスした感じで。
Ben:「お前、何してたんだよ?ピザでも食ってたのか?」
Moose:「ここは大丈夫だと思ったから、新しくコーヒーを淹れてたんだ。欲しい人がいれば準備できてるよ」

僕らはみんな笑ったよ。掃除を避けるために逃げたんだろって。僕らが後始末をしているときにピザ食べてビール飲んでたんだろうってふざけてね… 😉

僕らはワールドツアーのプレイリストに戻り、Benが音のトールキンになりたいと思っているという作り話をして楽しんだ。3時間以上の曲で新しい世界地図やさまざまな人々や動物の種を説明するんだって言いながらね。それは信じられないほど面白かった!それはまた、僕らがどれほど完全に変化したユニットであるかを素晴らしく表していた… 数年前まで、こういう事態は、対立的な会話を始める口実になっていたはずだ。それは、ずっと放置していた不満の10年間の結果。それはあまり健康的ではなかった(言葉が足りないという意味で)… 僕らはその夜を、まだ一緒にいることの祝福を思い出すことで終えた。そして、新しく生まれ変わった僕らが一緒にいられる幸福をより良く築いていくために、お互いの心の状態をチェックすることがどれほど重要かを再確認したよ。

そして、僕らはすぐに”黙示録のピザボーイ”をからかい続けたんだ…生きてる!!!