エディション31
音楽がゆっくりと戻ってきて (パート2)

親愛なる兄弟、姉妹、友人、そして愛すべき人たちへ

先週のジャーナル公開後、たくさんの人からメッセージやコメントを受け取ったんだ。どうもありがとう。新しいマネジメント・ファミリーや僕の健康、そしてマッカイの健康状態への慰めの言葉や温かい言葉に深く感動したよ。特に、マッカイの癌細胞はより攻撃的になっているようで、肺感染症も始まっていると聞いたから。それは僕にとっても悪い影響を与える可能性があるんだ。というのも 、僕の心臓移植も肺感染症の症状があったから。だから、ここ数日は少し気分が沈んでいたんだけど、山もあれば谷もあるのが人生なんだろうなって思ってる。たまに、こういう激しい流れからちょっと休みたいな、とも思うんだけどね。君もきっと、もし嵐を経験しているなら、それを一旦ストップできたらなって望んでいるんじゃないかな。もしも、誰かそうできる魔法のトリックを知ってたら、僕に教えて。迷わず買うよ。そんなに簡単なら、どんなに楽か。

でも、ありのままの自分で歓迎してもらえることによって、解放的なエネルギーにアクセスできる僕がどれだけ恵まれているかも知っているんだ。誰にも必要ないクソみたいなものを売るために偽の笑顔を作らなくて良いし、時にどれだけ落胆していても支えてもらえるって分かっているし、不死身かのように行動するプレッシャーを感じないで済んでるーだって、僕はそれくらい強くもなれるから。だから、温かくて気遣いに溢れた繋がりによって、最も難しい年であり、最も満たされた年でもあるこの時期を、以前とは全く違うように対処できているよ。それは何となく矛盾してると思わない?もはやコントロールを失った物事に対して完全にオフバランスで無力になりながら(そして、きっと実際はコントロールできたことなんてないんだ)とても満たされている。だって、たとえ数え切れないほどの傷と今も葛藤したり、マッカイのがん闘病で深く困惑していても、今ほど思いやりと愛に溢れた人たちに囲まれていたことはないと気付いたんだ…僕のことを、ただの人として、本当に心配してくれる友人たちに。

変な風に聞こえるかもしれないけど、みんなからの心優しい言葉と、今のこの新しい環境が、僕に深い影響を与えたように思うよ。自分が存在しないフリをしなくなったことだけでも、僕にとっては感動的なんだ。過去15年、僕を良いように利用してきた人間たちのためにずっとそうしていたようにね。そして、前へと進む一歩一歩を自分に対抗する目的を持った行動へと変えている。それは、日々の決断であり、そこから明るい光が深い霧であっただろうものから生まれて開花するんだ。シャッターを開けることを学び、本当の自分を明らかにすることは、喜びに満ちたリマインダーだと学んだ。進み続けるためのプレッシャーではなく、特に悩ましい時期に自分は1人ではないと知ることで、力が湧いてくることについて。自分には仲間がいて、大切に思ってくれる人たちがいるという感覚は、僕のように、全てを1人で抱え込むタイプの人間にとっては、とても良い影響を与えるよ。そして、それは癒しと解放も与える。いつもの「大丈夫、心配しないで」という反応ではなく、「完全に道を外れて迷っちゃったみたいだ」って答えられるくらいにね。そういう感情的な自由は、本当にとても解放的だよ。

その結果として、今の状況に関わらず、僕が最近エネルギーと時間を注いでいるプロジェクトの詳細を伝えることによって、僕の中で生まれる明るい光を映し出すことは大事なことだったんだ。そして、だからこそ、このパート2のイントロダクションを動物病院で書いてるということも、とても印象深い。マッカイの抗がん剤治療のセッションが終わるのを待っているんだ。僕の中の泉は空っぽだと思っていた。麻痺しすぎて動けない。夢を見るには不安定すぎる、または自分の声を使うにはダメージを受けすぎてるってね…自由は自分を忙しくさせることについてではなく、自分の痛みや悲しみよりも、もっと大きなものに完全に身を捧げることについてだってことを感じてもらえると良いな。

ニューアルバムと映像作品プロジェクト

手術後に一番心配したのは、心臓と肺の移植片ではなくて、声だった。執刀医たちが手術中に直面したデリケート且つ複雑な問題によって、手術時間が延び、それによって管を通していた喉へのダメージも大きく、声が出なかったんだ…それでも、生きているだけで大感謝さ。特に僕みたいにたくさんのプロジェクトと未来への計画を持っている場合はね!けれど、僕の声が戻るか、または戻ったとしてどの程度かは、誰にも確信を得ることはできなかった。それは、色々な意味で怖かったよ。もちろん、歌うことは、その大きな部分だった。でも、この世界でもしかしたら 2度と声を使ってコミュニケーションできなくなるのかもしれない、という考えこそ、本当に恐怖を感じたんだ。文字でみんなと分かち合う方が実際、僕は心地が良い。でも、コンサートのあとに皆と話す時間をとったり、ミート&グリートで集まったり、またはカフェとかでバッタリ会ったりした場合など、とても満たされた喜びがあることを再発見したんだ。この世界で最も意味深い贈り物のひとつを失うかもしれないというのは、控えめに言っても、恐ろしかった…

けれど、時間が過ぎていく中で、もしも2度と声が使えなかったとしたら、どれだけ創作に影響が出るだろうかと、負の考えに落ちていくよりも、エンドレスな”待機”時間にあらゆるものを観察したり、聞いたりして、自由に想いを巡らせることにしたんだ。その結果は、素晴らしくインスピレーションに溢れるもので、どこへでも飛んでいける精神を自由に旅させて、想像力を働かせるにつれて、他の人についての特徴や、自分の人生における未知の要素を見つけたり、理解することができたんだ。自分のことも再発見でき、これまでの旅路でどこかに置いてきてしまった感覚も取り戻すことができた。本当に興味深い旅だったよ。そして、僕がそのあとすぐに夢中になるものへの基礎を築いたんだ。フィルムとして表現されたコンセプトアートにおいて提示された比喩的な言語…オリジナルサウンドトラックをつけた内省的なフィルムを説明するたくさんの複雑な言葉さ。

このアルバムの特別なところは、2010年の10月に取り組み始め、未完成なまま忘れ去られたヴィジュアルプロジェクトの復活にインスパイアされたこと。長期間に渡って声が出ないという状況にならなければ、ずっと記憶の底に沈んだ、眠ったままの閃きになっていただろう。まるで僕の心臓のように、眠っていた映像のリールは蘇る運命にあったんだ。未来に誰かが見つける非個人的なものになるんじゃなくてね。たくさんの比喩的な意味に満ちた鮮やかな映像や、それを呼び起こす映像を再発見できて、僕はとても嬉しかったし、元気付けられた。そのあとすぐに、長年一緒に曲を作り、The Long Shadowsのマルチ楽器演奏者であるBenとタッグを組んで、音楽が自然な流れでゆっくりと生まれていったんだ。

このプロジェクトは、僕の声が少し復活したプロダクションの途中で、コラボレーターのMomokaが加わった時にさらなる変化を遂げた。その全てが、心の内部で起こるスピリチュアルな旅路だ。子供の頃に始めて、今この文字を書いている時にも続けていること…僕らはみんなそれぞれの“Voyage à La Mer”にいる。自分の目的地に着いたと感じる人もいれば、進み続ける人たちもいるだろう…それは大事なことではなくて、一番大事なのは、旅路の本質であり、それに伴う変化。それは何度も書きかえることのできる物語。この世に存在するという空っぽの波の間にある一時的な通り道を最大限に探検するとき、終わりはこうだと決める必要はない。それが美しさなんだ。そこに本当の”自由”があると思う。

より詳しいことや、サウンドクリップ、ヴィジュアルのティーザーなどを、これからシェアしていくよ。それまで、The Clubに入って、このプロジェクトのオルタナティブバージョンの1曲が収録された限定レコードエディションをぜひ手に入れてね。

発展し続けるThe Clubの本質

Jeffと僕は12年前にクラブを作った。平均的なバンドの存続期間が3~5年ということを考えると特に、今も続くこのプロジェクトに誇らしさを感じるよ…だから、Jeffが音楽の他にこのクラブに力を注ぐことにした時から、The Clubの成長ぶりを見るだけでも、すごく感動的だし、刺激を受けている。Jeffと僕にとって、いつだってクラブ内の原動力となる魂は、そこにいる人たちであって欲しいと願ってきた。だからこそ、自己満足で終わるエゴイスト的なグループではなくて、コミュニティクラブとして設立したんだ。だからこそ、僕らはサポート、交流、繋がり、リスペクトを自然な形で見ることができた。ここは安全な場所なんだ。その言葉が必要不可欠なメインストリームになる前からね。ありのままのお互いを歓迎し、みんなで集まるポジティブな口実を生み出すことについて。それが、僕らのコミュニティクラブの本質であり、今のように発展し、独特の場所を持っていることを誇りに思ってる。そこに参加できることは、僕にとっても素晴らしい特権だ。

今年度が前よりも特別な年だとは言わないけど、僕にとっては少し象徴的なんだ。きっと、心臓手術中に向こうへ行く川を渡りそうになったことで、今はより全てが大切なものだと感じるのかも…でも一つだけ確かなのは、自分よりも偉大なものの一部になれる特権について、これまで以上に自覚を持っているということ。新しくなったヴィジョン、というかより熱心に、感謝の気持ちを持って、それを目撃するのは素晴らしい感覚だよ。だからこそ、今年度のテーマは、でっち上げたり、偽造したりできないものにしたかった。理解したり、定義したり、意味を掴むことすらできないものにしたかった。それを何か、この世とはかけ離れた、目にも映らない、幸福感に溢れた、手懐けられない、けれど本物で、疑う余地のないものにしたかった…それぞれの感覚を、アイディアを、信じていることを越えた何かにしたかった。それについてじっくりと考えていた時、自分に問いかけたんだ。”新しい人生に色があるとしたら何色だろう?初めて目を開けるときに経験する至上の喜びの音はどんなものだろう?それはきっと純粋な気持ちだろうな。同時にこの上ない喜びを感じながら”。それについて、取り憑かれるように考えたあと、今回のテーマ“The Exhilarating Joy of a Life Made Anew”(新たに生まれた命に宿る活気に溢れた喜び)が生まれたんだ。手術まで2ヶ月という時期だった。そして、自分の問いにはっきりと答えられないものの、少なくとも、今年度のテーマには完璧だって確信していたんだ。自分が経験したことに、まだ少し困惑しているけど、その谷底を歩く間、一人じゃなかったことは知ってる。それが僕にとって最も意味のあることなんだ。たとえ答えが一生見つからなくても。

だから、今年度のThe Clubのオリエンテーションは、新しい命のこの上ない喜びに沿ったものとなる。ほとんどのコンテンツが君ともっと近づきたいという願いに基づいているよ。そのために、Jeffと僕は”カンバセーション“という動画ディスカッションをスタートした。ある話題について深く掘り下げて話し、君の質問にも答えるんだ。そして、最近The Clubのためのモバイルアプリもオープンしたんだよ。ここではリハーサル、バックステージ、スタジオ制作中などの限定コンテンツを楽しめる。より即興的な、リアルタイムでのランデヴーになる。特別なミート&グリートやツアー限定パッケージやサウンドチェック視聴とかね。もちろん、不定期だけどコンテストもやっていくし、Jeffのウィークリー・ニュースレターも継続していくよ。改めて、その全てが、人生を楽しむだけでなく、そのポジティブな空気を分かち合うために、素晴らしいきっかけとして反映されているんだ。

実際、親愛なる友人であり素晴らしくソウルフルなアーティストAkira Kusakaから、この素晴らしい作品を受け取ったあと、全てがはっきりとした形になり始めたんだ。自分の頭にあった景色が、Akiraの繊細で、エレガントで優美な絵によって形となったかのような。心のこもった装飾と夢のような解釈。まるで、一瞬眠りに落ちて、目が覚めたら古い日本の庭に横たわっているかのような、穏やかな空気、休息と落ち着きに囲まれた静けさからくる豊かさ。このアート作品が今年度のメンバーシップ特典パッケージのコンセプトにインスピレーションを与え、今後予定しているアルバムと映像作品プロジェクトのために最近書いた曲のオルタナティブバージョンを、メンバーのために特別にデザインされた限定エディションレコードとしてシェアすることへと導いた。興味深いだろう?!?

それが“The Club”の精神なのさ…

東京への旅

今年が終わる前にいくつか海外出張を予定していたんだ。そこで、できる限りみんなにも会いたいなと思っていた。自分の望むように計画は立てられるけど、人生は一直線に進むわけではなく、また一番大事なことを最優先できるとも限らない。だから、結局は自分のいる環境の中で実際に対処できることへと戻るんだ…

そして、僕にとって今は、マッカイの健康状態が最優先。だからこそ、今はなるべく自宅にいて、抗がん剤治療のセッションに集中することにした。Jeffと一緒に招待を受けていたアイリッシュ・ミュージック・ウィークのコンフェランスは辞退したよ。10月末に予定している東京国際映画&音楽祭には行けたら良いなと思ってる。そこで、コラボレーターのMomokaと一緒にアルバム&映像作品プロジェクトについて紹介する予定なんだ。

はっきりとしたスケジュールを伝えるのが難しいことはわかってもらえると思う。けど、できるだけ健康に良い自然素材のジュース(1)をその時、急でも空いてる人たちと一緒に取れるくらいの時間は作れたらなと思う。もう少し詳しいスケジュールが分かったら、できるだけ早く知らせるね。

(1) そう、ジュースって書いたのは確かさ。僕の医者の先生は、薬とアルコールは一緒に飲んではいけないと言うんだけど…でも、待って、ワインは大まかに言えばグレープジュースのファミリーでしょ?そして、アガベは何より植物だ。ということはテキーラはハーブ系の飲み物だと考えることができる。違う?とにかく…僕の言いたいことは分かったよね 😉 アンフェアな人生について冗談すら言えない上に、数少ない喜びを奪われるのはより悲しいことだ…というわけで…YEAH! ジュース!!!なんてね。少なくとも、一緒に過ごす時間は最高のものになる。それが一番幸せな部分だ、そうでしょ?;)

セカンドアルバム?本当?

“えっ…別の新しいアルバム?”って聞くかな?うんとね…そうさ!セカンドアルバム!

この先の海外での旅で一際楽しみにしているのが、タンジェで次のフルバンドのアルバム制作のためにプロデューサーと顔合わせをして、創作のプロセスを開始すること!この新作は来年の頭にThe Long Shadowsのメンバーと一緒にレコーディングする予定だよ。

『Windows in the Sky』に続くアルバムをタンジェで制作し始めることは、個人的にすごく意味深いことだと思ってるんだ。僕が個人として、アーティストとして生まれ変わった場所であるだけでなく、Jeffと僕がここ1年ほど購入に取り組んできた新しいロケーションに集まるから。ユニークでアーティスティックな場所なんだ。La Maison de Tanger の延長として構える場所で、それによってこの先、よりたくさんのクリエイティブでアーティスティックなプロジェクトを試みることができる。

色々と難しい時期を過ごしているけれど、それでも、今はとても充実した季節であり、その全貌をみんなと分かち合うのが待ちきれないよ!

モロッコへの希望

このジャーナルを書いたのは、モロッコで3,000人以上の死傷者を出した地震が起きる前。多くの人たちが今も住む場所や基本的な必需品がないまま取り残されている。僕の心は彼らと共にあるだけでなく、ぜひ僕と一緒に、彼らの人生に違いをもたらして欲しいんだ。ここをクリックして、“Hope for Morocco”(モロッコへの希望)について見てみてね。いつだって思いやりを行動に移す方法があるよ。

次回の、そしてジャーナル最後のパートがまた来週リリースされるよ。君から受け取った質問のいくつかに答える時間をとるんだ。楽しみにしててね!

愛を込めて,
AHF

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